ホットワックスを前提に売られている固形ワックスを、直接生塗りしてしまうのがこの方法、アイロンがけやスクレーピングが必要ない上、滑走面を傷める心配もない。

唯一硬い固形ワックスを塗るには力が必要だが、効果の持続はスプレーやペーストより期待できる。

簡単な割には滑走面にも優しい固形生塗り

各メーカーのほとんどの固形ワックスが使用可能だが、中には生塗りするには硬すぎたり、アイロンで溶かして塗らないよと効果が期待でないものもあるので、選ぶ際は生塗りできるかどうか確認しよう。以下、そのやり方を解説していく。

DO IT YOURSELF! ペーストワックスのかけ方 生塗り

マツモトワックス/Extara Blue

寒冷地用の特に硬いタイプを除けば、生塗り可能なワックスは多い。これはフッ素含有、0℃〜10℃の気温に対する固形ワックス。
(問い合わせ先 株式会社エス・エム・ジャイ 046-265-6118)

滑走面をクリーニングしたら、力をこめてワックスをまんべんなく滑走面に塗り込む。

次にナイロンブラシを軽くかけ、塗りつけられたワックスを粉嬢に砕く。

砕かれたワックスを、コルクを使って表面がツルツルになるまで延ばす。この際。フェイキーで滑ることが少ない人であれば、テイルからnoseまでにかけてコルクをかけていこう。

馬毛ブラシがあれば、仕上げ用として軽くかけてやると、さらに滑走性能がよくなる。

手間はかかるが効果は最高のホットワックス

アイロンがけにスクレーピングを手間はかかるものの、効果の持続性、そして滑走面の完璧なる保護と言う意味で、最高の効力が得られるのがホットワックス。

しかもワックスを混ぜて塗布することが可能なため、コンディションに応じて細やかなワクシングができるという点が利点である。ホットワックスの課程としては、下地をなるベースワックスとその上に塗る滑走ワックスがあり、そのやり方は11月27日発売号にてすでに解説した、そこで、ここで滑走ワックスの種類や選択の基準について言っておこう。

Q.滑走ワックスにはどんなものがある?

A.もっともベイシックなのが、パラフィン系と呼ばれるタイプ。このパラフィン系に、撥水性に優れたフッ素は水分を球体にしてはじく性質があるため、特に湿気を多く含んだ雪質で効果を発揮するといわれている。

そして炭素を配合することにより、摩擦により静電気を抑え、ゴミや汚れの付着を防止する効果のあるのがグラファイトワックス。低温下で摩擦による静電気がおきやすいコンディションや、初先の汚れた雪などで効果を発揮するといわれている。また水分の多いときに用いられる、シリコン配合のワックスもある。

Q.どんな基準でワックスを選べばいいの?

A.上記のような成分の違いに加え、おなじタイプでも雪温によって硬度の異なるワックスが数種類出ていたりして、同じメーカーでも総合的なワックスの種類は相当な数にのぼる。

この中からどれを選ぶか、またどれをブレンドするかとなると、プロのサービスマンも頭を悩ます問題だ。

基本的に多くのメーカーが選択の基準としているのが、「雪温」「湿度」「気温」という三つの要素から照らして、適応する雪山まで持参する読者はいないと思うので、ここでは身近な現像から判断できる方法に限って、いくつかの例を挙げてみよう。

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マツモトワックス/雪男

北海道エリアにおいてテスト・開発した寒冷地用ワックス。特に結晶のはっきりしたパウダー系雪質に最適。
(問い合わせ先 株式会社エス・エム・ジャイ 046-265-6118)

まず雪を硬くにぎっても、決して固まらなくてハラハラと崩れてしまうような雪。これは乾燥した雪なので、堅めのワックスを選ぶ。こんな時に柔らかいワックスを塗っても、絶対に板は走らない。

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マツモトワックス/Extra Red

握ってみて雪玉になるような湿雪に。気温が-2℃を下回るようであればBlueがベター。
(問い合わせ先 株式会社エス・エム・ジャイ 046-265-6118)

逆に、握るとしっかりした雪玉になるような場合は湿気が多いことが予測されるので、フッ素系のワックスが合うことが予想される。

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マツモトワックス/Extra High Green

フッ素高含有ながら、-5〜15℃の気温に適応するかなり硬めのワックス。
(問い合わせ先 株式会社エス・エム・ジャイ 046-265-6118)

ゲレンデで滑走面などの手入れをしているとき、バチバチと静電気が起こるようであれば、乾燥を想定して硬めのワックスを塗るのがいい

アイロン

安いものでは5,000円を切るものから上は10,000円以上のものまで、一言にアイロンといってもいろいろな種類が出ている。ワックスを溶かして塗り付けるだけの機能とはいえ、細かい部分で使いやすさに違いが出てくるので、プロの目から見た調子のいいアイロンの条件を挙げておこう。

まずは、有る程度の重さがあるものの方が、圧力をかけてワックスを延ばすのが楽。また均一の熱を滑走面に伝えることを考え、熱版の部分は四角のタイプがお勧めだ。そして室温やワックスの種類によって温度設定がかえられるよう、温度調節機能は必要不可欠だ。

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スノーボードクリニック/ワクシングアイロン講師である伊藤氏をはじめ。プロの中でも愛用者も多いSBK製アイロン。
(問い合わせ先 スノーボードクリニック・ジャパン 027-347-3007)

スクレーパー

スクレーパーにはプラスティック製をメタル製があるが、ワックスを研ぐ際に使うのは、基本的にプラスティック製のもの。メタル製はプラスティック製のもの。

メタル製はケバとりなどに使われ、下手すると簡単に滑走面を傷つけてしまうので注意しよう。プラスティック製スクレーパーを選ぶ際は、厚さ3ミリ、長さ18cmぐらいのものが両手に引くにはちょうどいいサイズ。

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マツモトワックス/スクレーパー
(問い合わせ先 株式会社エス・エム・ジャイ 046-265-6118)

スクレーパーのメンテナンス

厳密にいうと、1回のホットワックスでプラスティックスクレーパーの角は丸くなってしまう。長方形のスクレーパーであれば、使える角は全部で四カ所一度ホットワックスの行程で、一つ4回行えばそのスクレーパーはダメになる計算だ。

とはいえ買い替えるのはなく、専用のシャープナーや紙やすり等を使って角を立てればOK。ゆえにスクレーパーも、まめにメンテナンスすることが必要だ。

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シャープナーがない場合には、紙やすりやファイルを使ってスクレーパーの角を立てるようにしよう。

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ホルメンコール/スクレーパー・シャープナー

使うコツは、シャープナーを動かすのではなく、シャープナーは固定したまま、スクレーパーを動かして削る点。そうしないと、スクレーパーが歪んで削れ、フラットができなくなってしまうので注意。

(問い合わせ先 山本光化学株式会社 03-3834-1878)

ブラシ

ブラシには、余分なワックスをかき出すためのナイロンブラシと、静電気を防止して仕上げる馬毛ブラシの二種類がある。ホットワックス用として、できることなら両方揃えたいが、金銭的に厳しい人は安い靴磨き用ブラシから押し付けて擦るというより、スナップを利かせて前方に「書き出す」感覚で作業するのがポイント。

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マツモトワックス/ナイロンブラシ
(問い合わせ先 株式会社エス・エム・ジャイ 046-265-6118)