ハロルド・ミヤモト氏ハロルド・ミヤモトのスノーボードコラム集

ある雑誌にも書いたが先日、わたくし不肖・ミヤモト、メキシコで警官に逮捕されてしまった。前回の出張では"成田エロビデオ没収事件"。前々回はシカゴで「このパスポートの写真はおまえではない」と言われて入国を拒否された"シカゴ偽者疑惑事件"につづいて3回連続のヤマである。これ以外にも過去にドイツのサウナでの"女性更衣室乱入事件"とか、"ミュンヘン酒気帯運転逮捕事件"、"シアトルの反対車線走行&フェンス激突事件"などかなり大きなヤマを踏んできたが、今回はちょっと勝手が違った。

夕方の7時ぐらいにティファナの目抜き通りREVORUCION ST.で、ビールを飲みながらローレックスの偽物を見ていたのだけなのだが、どうも最初から目を付けられていたらしい。ちなみに偽物が堂々と店先のショーウインドーに並んでいるのはいかにもメキシコである。偽物屋はソウルやタイペイにもあったが、一応奥の方の部屋においてあったり、ポケットの中からそっとでてきたりするものだが、なんとも開けっぴろげだ。ちなみに値段は200ペソから700ペソ(1ペソ約10円)と偽物の時価としては「そんなもんかな」というぐらいで、めちゃめちゃ安くはない。

で、話をもどすと、容疑はもちろん偽物を買おうとしたと言うことでなくビールを飲んでいたからだ。レストランやパブ以外のパブリックな場所で酒を飲むのは禁止らしいというのは知っていたが、酒屋のおやじの「紙袋に入れてラベルを隠せば大丈夫だ」の言葉に、「アメリカのビーチもほとんど禁止だけど、みんなスポンジのケースに入れて飲んでいるから同じようなもんか」とタカをくくったのがよくなかった。

言われたようにして飲んでいると、警官が「これはアルコールじゃないのか?」と言いながら近づいてきた。

最初は知らないふりをしたり、「もう飲まないから」とか、「ローレックスの偽もんの方が問題が大きいんじゃないか」などと言っていたのだが、その警官は「おまえを逮捕して警察のステーションに連れて行かなければならない」と言いだし手錠を取り出した。「おまえはしばらく牢屋に入ることになる」とも言っていたので、さすがにこれはちょっとマズイことになってきた。

ところが押し問答をつづけてもいっこうにステーションに連れて行こうとしない。というより路地裏の売春宿の前みたいなところに連れてこられた。ははぁーん、これはひょっとしてと思って、「だんな、まあ今日のところは、少ないですけどこれで一杯やってくだせえ、へっへっ・・」なんて言うのが通用するのでは?と思ってやったら本当にかんべんしてくれた。お金を握らせるとまるで映画みたいに、「もう行っていいぞ、通りを渡ってまっすぐ行け。振り向くな。わかったか」と言って反対方面に歩き去っていった。

緊張が解けて、あとでよくよく考えてみるとビール一杯で牢屋はあまりにもおかしい。宗教的な戒律の厳しいエジプトとかではないんだし、まあ最初から金が目的だったんだろう。とんでもない悪党である。

これも国の慣習なのかもしれないけど、ところで海外ネタで、いままで聞いた中でいちばんおもしろかったのが、うちの会社の社長の話だ。

中国では風俗といえば床屋で、そこは日本のヘルスとピンクサロンをあわせたようなところだと聞いて、わざわざいったそうなのだが「どうぞ」とイスを勧められていきなりズボンとパンツを下ろして、ポコチンを出して座って待っていたらしい。しかしそこは風俗ではない普通の床屋で、そのうち床屋のおやじややってきてエプロンをかけて頭をチョキチョキ切りだして、やっとそこが風俗ではない本物の床屋だと気が付いたということだ。その後どういうタイミングでパンツを上げたのかは聞きそびれたが、これも慣習の違い?と言えばそうかもしれない。


明るい生活(雪坊主誌 掲載時期不明)