ハロルド・ミヤモト氏ハロルド・ミヤモトのスノーボードコラム集

「ヤマさんって、ほんとカッコいいわよね!」
「そうね、まわりの男がくすんで見えるってああいう人を言うのね」
「でね、なんか仕事の話をしているときと冗談言ってるときのあのギャップもたまらないのよ」

一緒に飲みに来た女の子達が、ヤマさんの話題を出してきたので、私は露骨にいやな顔をした。もうまたかという感じだからだ。

このヤマさん(仮名)というのは私のスノーボード業界での知り合いで、歳はたぶん今年45,6歳になると思う。家庭を持っていて子供もいて、休みの日には釣りやゴルフを楽しむというごく普通のサラリーマンである。

ただうらやましいことにこのヤマさんはメチャメチャ女性にもてて、実際いつもいい女を連れている。

ヤマさんを知らないみんなは、きっと藤竜也みたいなシブイ中年や小林薫のような優しそうな男を想像するかも知れない。或いは田村正和のような2枚目かも知れないと・・・・しかし実際はまったく冴えない、腹だけプクッと出ていて、眼鏡によれよれのスーツを着たどこにでもいる油臭い中年おやじだ。さっき言ったように、いちおう嫁さん、子供もいる。顔も悪くはないんだが、とりたててどうこう言うほどのことはなく、歳のわりには白髪が交じり見ようによっては50歳ぐらいに見えなくも無い。

でも、くどいようだが彼はもてるのである。そして今回のように何人かで飲みに来ると同席の女性から「ヤマさんすばらしい」、「ヤマさん最高だわ」みたいな台詞を聞かされるはめになるのである。

これを読んでいる人の中には、なんとかこのヤマさんを自分の理解の常識に当てはめようとして、ひょっとしてお金持ちとか資産家とかそういうオチがあるんじゃないの?とか、卓越したセックステクニックを持っているんだろうとか思う方もいるかも知れないが、ぜーんぜん。多少小金は持っているかもしれないが、基本的にはごくごく普通のサラリーマンだし、「セックスも最近はさっぱり駄目だわ」という本人の証言もある。もちろん最初に言ったようにスノーボード業界の人なのでマスコミとかデザイナーとかそんなかっこいい商売をしているわけでもない。

では、火野正平みたいに母性本能をくすぐるタイプなのかというとそうでもない。多少だらしなくてほおって置けなくなる所はあるが、女性へのフォローが行き届いているとか、マメであるとか言ったその手のプレイボーイとしての肝心な部分が欠けているのである。我が儘で、口うるさくて、油っぽくて、水虫で、よれよれのスーツの肩にふけがのっていたりする、おまけにくどいようだが妻帯者なのである。

ひょっとしたら、みんなのまわりにもこういう風に自分にはその魅力が分からないが、なぜがまわりの評価が高くてもてている男が一人ぐらいはいるんではないだろうか?逆に女性の場合もあるだろう。なんかよく分からないけど男からちやほやされる女とか、またこれとは逆でカッコよくて欠点なんか見あたらないのに全然女にもてない男とかいることも事実だ。

なぜヤマさんがこんなにもてるのかと言うのは、とうとうスノーボード業界7不思議(編集部注)の一つに数えられるまでになったが、わたしはヤマさんにあって他の一般的な人には無いある一点に気が付いた。それこそが世の中をもてる男ともてない男に分類する鍵なのである。

(編集部注訳:「都内の某スポーツ店は赤字つづきでもどこからともなくお金が出てきて倒産しない」とか「モローとバートンのライダー同士の恋がうまく行かなかった裏にはユダヤの世界戦略があった」とか、「シムスを扱っている会社の社長はいつも毛足が同じ長さで髪の毛が伸びた所を見たことがない」などとならんで7不思議の一つに数えられている)

ではなんでこんなにもてるのか?

一口にいえばフェロモンが出ているからだと分析している。フェロモンといっても本当の香りではなくて、実のところは分からないが、唯一ヤマさんが人と違うところがあるとすれば、それは彼が「俺は女にもてるから」と微塵の迷いも無く思っている事だ。ま、実際もてるのは間違いないんだが、世の中にはこの逆で結構かっこよくて、性格もいいし、さしあたって何の欠点も見えないのに、全然女にもてない男もいる。

これは女にも言えることだと思う。またみんなのまわりにも絶対これと似たような例があるはずだ。

これはもてるという正のスパイラルに入るかもてないという負のスパイラルに入るかと言うことなんだけれども、それはこの「俺はもてるという自信」があるかないかだけかも知れない。

スノーボード界でもてると言えば福山正和、保坂りょうまの芸能界にたとえるとジャニーズ系か、山崎勇亀、石川健二、平岡暁史の研音グループ系(反町や竹ノ内など所属、トレンディドラマなど得意)系があげられるが、群馬のプロショップHのスタッフ古林さん(仮名、29歳)によると今フェロモンの旬は保坂りょうまらしい。さすがジャニーズ系りょうま君淫行から熟女まで幅広い年齢のファン層を持っている。

この点、お笑い系の田原勝也、キム・ウンクァンではまねできないだろう。

明るい生活(雪坊主誌 掲載時期不明)