ハロルド・ミヤモト氏ハロルド・ミヤモトのスノーボードコラム集

スポーツ業界向けの新聞に、日本スポーツ用品輸入協会専務理事の宮地弘孝さんという人が、「最近の若者気質」と題してこんなコラムを載せられている。恐らくもっとも世間を代表した意見の一つではないかと思ったので、抜粋して紹介してみる。

「最近の若者気質の変化には驚くばかりである。体育会系あるいはサークルにおいても共通の現象のようである。そして四年生が一、二年生のやる気のなさをなげいているのである。第一に、基礎練習の大切さを理解しようとする気がない。第二に、集団生活のマナー・エチケットを理解しようとする気がない。以上の二点に集約されているかと思われる。…」と書かれておられる。

つまり最近の若いもんはマナーが悪くて地味な努力が嫌い。それは19歳より若い世代に顕著で23歳ぐらいともすでに世代格差があるというのである。

さらに原因については、

�@虚栄心が強く、点数を取れば官軍という意識が強く、成績がよければ人格まで優れているという錯覚に陥っている。

�Aコンピューターゲーム感覚で失敗したりしてもリセットボタンを押せばいいと思っている。

�B視覚(映像)から得た情報(バーチャル)で体力、技術がなくてもできると思っている。

�C集団生活になじむ躾を受けてなくて協調性に乏しい。

とした上で、こういった特徴が体育会系の学生まで見られるのだから相当な物だと言うところで締めくくられておられる。

非常に正直なご意見で、また体育会系への思い入れもたっぷりで、それに対して同じ様な感じ方をされている人も多いのではないだろうか。

でもそれって本当に若ものだけに見られるのか??

意地悪な宮本はそういう「最近のおっさんやおばはん」は、どうなんだろうか?と思ってしまう。

たとえばおばはんを例にとって当てはめてみよう。

「最近のおばはん気質の変化には驚くばかりである。たとえばお姑さん(55歳)がお嫁さん(30歳)のやる気のなさをなげいているのである。第一に、家事の大切さを理解しようとする気がない。第二に、たとえばゴミの分別がされていない等、集団生活のマナー・エチケットを理解しようとする気がない。以上の二点に集約されているかと思われる」

ね、しっくりくるでしょう。もちろんサラリーマンのおっさんを例に取っても一緒です。

�@虚栄心が強く、肩書きに弱く、会社での役職が上なら人格まで優れているという錯覚に陥っている。

�A羞恥心が希薄なので、失敗したりしても部下や下請けに責任転嫁すればいいと思っている。

�Bテレビの影響でルックス、お金も無いのに「失楽園」できると思っている。

�C会社以外での友人が少なく協調性に乏しい。

若ものの欠点として挙げられた現象や原因は、大人も含めた最近の日本人の多くに当てはまるのでは無いでしょうか。

つまり成績がよければ人格までというのは、菅原道真の平安時代からそうだったようにそもそも大人たちが作った価値観だし、失敗しても…というのはコンピューターゲームを引き合いに出すから若ものっぽい印象になるけど、これは年齢より人によるもの。またイメージから入るのはひらめき型の「右脳人間」とされ、ベストセラーになった本の影響もあってどちらかと言えば良いこととして解釈されています。協調性も会社を離れれば友達もいなく、趣味もない中年のおっさんのほうがよっぽど心配です。

大人の視点から見れば20歳前後の人間が頼りなく見えるのはしょうがない事。その事と、社会の流れ、現象といったものが若ものに端的に現れるため、いつも大人から色眼鏡で見られてしまうのではないでしょうか。別に若ものに迎合する気も媚びるつもりもないが、結局そういった若ものに育てたのは誰でもない大人なのだし、そしてその大人達も20歳くらいの時には同じように「最近の若いもん」呼ばわりされていたのだ。

さて私はスノーボードを仕事にしているので、多くの「若い」と呼ばれる人と合う。その中にはピアス、タトゥ、ピンクの頭など見た目社会不適合者も多い。しかし、彼らの多くは色々なことを真面目に考え、悩んでいる。感性が鋭く利口である。個人差もあるだろうが、むしろ自分がその年代だった頃に比べて真面目で大人びているとさえ思う。

なんでも古代エジプトの遺跡から発見された石版だかパピルスだかにも最近の若い者はなっていないという意味のことが書いてあったらしい。そんな文明発生のころからどんどんと若者が駄目になっているとすれば、とっくの昔に人類は滅んでいるだろう。

むしろ「最近の若いもん」の行動や価値観が従来と変わって来ることは、人類の進化を表している事だと思う。

お茶の間ボーディング(Transworld Snowboarding誌99'04月号)掲載