ハロルド・ミヤモト氏ハロルド・ミヤモトのスノーボードコラム集

引き続きスノーボード業界への就職活動について真面目に迫ってみたいと思う。

先月号を読んだ読者からも「今年スノーボード業界を狙って就職活動しているが、なかなか内定をもらえず苦戦している」との手紙や相談も早速送られてきた。

「あほ! この大事な就職活動の時期にSNOWing誌なんか読んでいるから駄目なんじゃ!!」なんて事はいえないので今回はそんな君のために就職の秘策について触れる。

(元)阪神タイガースの智将、野村克也監督のメガホンには「人事を尽くして天命を待つ」(注1) と書いた短冊が貼られているが、やることをやらないでただ運まかせでは就職もままならない。

前回は「履歴書の写真も意外と重要だ」ということと、「人と同じ事をしてたら選考してもらえる可能性は低い」という事を書いたが、特に会社まわりもしないでSNOWing誌を読んでいるようなヤカラは普通にしていては逆立ちしても内定は勝ち取れないやろう。

そこで、桶狭間の織田信長のように奇策に出るしか道はない。どうせ普通にしていても無理であれば駄目元でやってみるしか無いちゅうこっちゃ。

かくいうミヤモトもかつて就職活動をしていたとき、当時はまだ今ほど状況が厳しくなかった事もあるが、行く気もないし、まさか採用してくれないだろうと思っていた大手デパートの説明会に行って、

「僕はなんでも1番にならないと気が済まない性格です。自動車のダートラのレースに出ているんですがそこでもほとんど1番です。会社に入っても1番をとりたいんですが新人から担当を任せてもらって、ちゃんと評価してくれる会社なんでしょうか?」などと、ほざいた事がある。

今考えてもとんでもない発言やが、結果はなんと即内定だった。(注2

そこには結局行かなかったんだけれども、これなんかいい例やと思う。

奇策というからには最終的には自分でこっそり考えて実行するしかないが、大サービスちうことで2,3紹介しようと思う。

「作戦1:ドリアン作戦」。
第一印象をとにかく悪くしてみる。アッシュ系に脱色した髪にピアス、タトゥーバリバリで、場合によってはスキンヘッドに眉毛を落とすというのもいいやろう。で、とにかく第一印象を悪くする。すると、何かちょっとまともな事を言ったり、いいことをするとそのギャップの大きさから、ものすごくいい人になってしまう。ちょうど反対側に振れた振り子が逆に大きく振れるような感じだ。

分別くさい話を得意とするドリアン助川が金髪にしているのもこの理屈による。

「作戦2:ノーガード作戦」。
古くは矢吹ジョーから最近ではK1のレイ・セフォー(注3) が使う超高等テクニック。格闘技では両手を力無くダラーンとぶら下げ、顔を前へつき出し「どうした、かかってこいよ?」といわんばかりの表情で挑発し反射神経で紙一重を見きって攻撃をかわす事だが、就職活動のノーガード戦法は、普通緊張していてやらないだろうとか、常識的にやらない事を意表をついてバンバンやって相手(この場合会社の採用担当者)の度肝を抜くのだ。

ぶりぶりとおならをする事から始まって、つまらない話は大きないびきをかいて寝る、鼻くそをほじる、説明中に弁当箱を明け早弁するなど傍若無人な振る舞いをする。ほとんどの会社は「なんだこいつ」で終わりだと思うが10社に1社ぐらい「こいつがこんなに隙をみせるのは何か大きな自信があるからだろうか?」などと深読みをする会社も出てくるやろう。

「作戦3:犬コロ作戦」。
頭の悪い駄犬は、追いかけると逃げるくせに、こちらが立ち去ろうとすると慌てて追いかけてきたりする。またナンパの達人もガーっと攻めておいて、ふっと連絡をしなくなったりという緩急をつけて女の子を夢中にさせるらしい。これと同じように何かにつけて毎日問い合わせや連絡や、あるいは近くに来たから寄ってみたとかいって会社を訪問して、頃合いを見計らって連絡をいっさい取らなくする。それまでの間に社内では当然話題になっているはずだから「あれ、彼から今日は電話ないの?」などといわせればこっちのもんだ。

「作戦4:デビ夫人作戦」。
とかく最近は自己主張をあまりしないと言うか、「○○みたいな〜」とか、「そうかもしれない〜」、のようにはっきりと断定しないで表現をぼやかす傾向がある。だもんで、逆にデビ夫人やサッチー(注4) のように間違えてようが嘘だろうがビシバシ話す人間は意志が強い人ということで注目を浴びる。そこで、こんな事はいわないだろうというようなことを不用意にばんばん繰り出すのだ。口を開けば「御社のトイレすごく汚いですね」から始まって、「給料が安い」、「休みが少ない」など歯に衣を着せない発言をくりだす。ただ単に大ひんしゅくを買うだけで終わるかも知れないが、そんな時は「なんて尻の穴の小さい会社だ!」と怒鳴って帰ってくればいい。

さて、コツはわかっていただけたやろか?あとは実行あるのみや。

ただし結果がどうなってもいっさい責任はとれないのであしからず。

注1
ほんとこの人は四文字熟語とか格言が好き。かつては新人の選手を集めて、車や身につけているブランド物を見せつけ「おまえ達も頑張れば、わしのようになれるんや」と言って発奮させていたそうだが、今なら「でもかみさんがサッチーじゃ羨ましくねーよ」と言われそうだ。

注2
幸いなことに「そのわりに君の学校の成績は1番からほど遠いようだが・・」なんていうツッコミもなかった。他にも頼まれもしないのに東京の本社にアポなしで訪問してアピールしたりと、当時から人の裏をかく姑息な手段をとっていた。

注3
南海の黒彪と異名をとるニュージーランド出身のキックボクサー。K-1GP初参戦にしてベスト8入りを果たした。ピーター・アーツを育てたドージョー・チャクリキのスタッフも、「世界にはそんな大して強いやつはいないよ。でもオセアニアに一人、すごい強いヤツがいる」と太鼓判を押す選手。

注4
彼女たちは人から何をいわれようが、ヘコむことなくいつも前向きだ。ところでミヤモトは先日ロスでSt.John’s Wortというビタミン剤を買ってきた。これは説明によるとブルーな気分の時に飲むとポジティブなムードになって前向きになるそうだ。例の叶恭子も使っているらしいので今度試そうと思う。

GTM(SNOWing誌00'07月号)掲載