ハロルド・ミヤモト氏ハロルド・ミヤモトのスノーボードコラム集

「これからはアルペンが流行る」と言われつづけて10年?しかしここ3,4年の急激なスノーボード人口の増加によって、逆に比率は落ちている。それが、一層アルペンとフリースタイルの溝を広げているように思う。これでは将来的にスノーボードの発展の妨げになるので、ここいらでアルペンの誤解を解く時期に来ているのではないやろか。

ひょっとしたら、このSNOWING誌は日本で一番アルペンスノーボーダー(以下アルペン)の読者比率の高い本かも知れない(知らんけど)。その上で、あえて誤解を覚悟で言うなら日本ほどアルペンが、いわれの無い差別を受けている国は他には無いと思う。

たとえばスノーボーダーは、基本的には異性にもてるスポーツである(注1) 。にもかかわらず、世間の風はアルペンに冷たい。友人のアルペンレーサーは、つきあっていた彼女(フリースタイルボーダー、以下フリースタイル)からある日突然、「別れたいの。一緒にスノーボードに行ってもつまらないし」 「えっ!?」 「だってあなたアルペンでしょ・・・」と言われ一方的に交際をうち切られた。ただアルペンと言うだけで、彼には何の落ち度もなかった。友人は、今もこの言葉がリフレインして耳から離れないというとった。

またスノーボーダーのパーティーに出かけたアルペンチームのメンバーは、ナンパした女の子から「何の板乗ってんの?」と聞かれて、うっかり「F2」とか、「HOT」(注2) なんて答えて露骨にいやな顔をされたと言う。彼女らのイメージとしてフリースタイルは 「明るくて陽気なアメリカン!」、アルペンは「根暗でオタッキーなめがね君」的なものがあるらしい。まあ実際うちのアルペンチームにはフィギアマニアや、女性なら編み物上手も多いけど・・・。

ある知り合いの女の子にイメージを聞いてみたところ、「理屈っぽい、頑固者、じじい(30歳以上を指す)が多くて体育会系、性格は地味なのに着ている服は派手(キムジーの事か?)、金は持っている」だそうや。

これは結局アルペンという言葉だけが一人歩きしているからやと思う。みんなが知っていて、それでいてやってる人、或いはやったことある人と、やったこと無い人でこれほどイメージがちがうものも珍しいのとちゃうやろか。実際やってみればスッゴイ面白いのに、何か敷居を高くしているのはアルペン側にも問題があると思う。

アルペン君の深層心理には「フリースタイルはガキの遊び。もう卒業した」とか、「あんな奴らがいるからスノーボードのイメージが悪くなる」、「あいつらは、みんな下手くそ」、「俺は我が道を行く!」なんて言う思いがあるんとちゃうか。「俺は違う」とか、「言い過ぎちゃうん」と、思っているかたもいると思うが、それは自分の深層心理に気づいてないだけや。男の子はみんな自分の母親とやりたがってるっちゅうのと一緒や(注3) 。

しかしこのままほおって置いたら、今にアルペンはフリースタイルからもスキーからも嫌われるコウモリになってしまう。ハロルド流アルペン差別撤廃戦略はこうや、

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[1] 初心者から見て、なぜアルペンの印象が薄いかと言えば、初心者用ゲレンデであってもスピードを殺さず一瞬で通り過ぎるからにほかならない。逆にフリースタイルは低速で軽いエアーやトリックをいれるため印象強い(注4) 。対策としては通好みで上手下手がわかりやすい高速ロングターンはやめて、細かいターンでいくべきや。スピードを殺してかつ初心者へのアピール度が高い。地道な努力で初心者を増やすべし。

[2] スタンスを50cm以上にしてガニ股で乗る。男子アルペンの不人気の一因はあの内股や。あれが、「ひょっとしてこの人ウンチちびってるんじゃないかしら」と誤解を招いている。滑りを犠牲にしても、より男らしさ重視で行く。

[3] アルペンに「かわいい女の子」を増やす。スポーツ振興の原理は簡単で、どれだけ「かわいい女の子」の参加人口が多いかにかかっている。つまりどんなスポーツでも遊びでも、「かわいい女の子」→「男」→「ぶさいくな女」と、言う食物連鎖(注5) の中で流行っていくので、ここで「かわいい女の子」と言う稚魚を養殖して放流すれば自ずと人口は増える。
これはメーカーが、ライダーやアマチュアを顔で選んでどんどんサポートすればいい。

[4] 両者の溝を埋めるため、アルペンとフリースタイルの男女をくっつけ異種間交配を行わせる。今や両者の間にはかつて横浜銀蠅が「おまえサーファーガール、おいらロックンロォーラー・・・♪」と歌った恋人同士以上に相容れないギャップがある。こうなった以上最終手段として、JSBAでもなんでも呼んできて組織力をもって無理矢理オ○○させるしかない!

とにかく全国のアルペンボーダーが一丸となる時が来た。これ以外にもアイディアがあったら編集部までメールしてほしい。ただしクレームは受付けへんのであしからず。
(全国アルペンスノーボード普及連合会?会長)

注1
ある調査によれば、男性の彼女にしたい一位はスノーボーダー。別の調査でも女性の93%がスノーボーダーの男性に興味を持っていると出た。これはオリモノによる下着汚れの悩み以上だ。

注2
F2、HOTもフリースタイルのバリエーションを持っているが、比率的にもイメージもアルペン色が強い。

注3
フロイト博士による。うっかり博士に夢の話をすると、すぐSEXと結びつけられる。近年ただのエロ親父だったのではとの説も出ている。

注4
まあどちらも中級者以上だが、さらに言うならフリースタイルのほうが初心者に対してごまかしが利きやすいと言える。

注5
自然界の掟。食うか食われるかである。しかし、この食物連鎖の頂点に「ぶさいくな女」がいるのも興味深い。

GTM(SNOWing誌98'10月号)掲載