ハロルド・ミヤモト氏ハロルド・ミヤモトのスノーボードコラム集

BURTON「ブラッシー‘96」、MOSS「T.Tモデル」、DIVISION23「マイキー’98」。今まで乗ったボードの中でも特に好きなボードだ。仕事上これまでに何十本ものボードに乗ったが、印象に残った物はそんなに多くはない。これは、たとえば肌を合わせたおネエちゃんの中でも、時折思い出す女(ヒト)もいれば、まったく記憶から欠落している女もいるのと同じ感じだ。

いい思い出しか浮かばない女、嫌な記憶をよみがえらせる女、乗りのいい女、軽い女、危ない女。ここんとこの「女」に「ボード」の文字を当てはめてみても違和感は無いはずだ。 別に「お姉ちゃんはボードみたいなものだ」などと言っているのではない。自分に合ったスノーボードを選ぶのは、彼女を捜す事と共通している部分が多いと思うだけだ。

そこで今回は、正しいスノーボードの選び方について話しを進めたい。

みんなは、今乗っているボードを買うときどうやって選んだのだろう。店の人の薦めや、自分で本を読んだり友達に聞いて研究したりとか、好きなライダーが乗っているとか、デザインやスペック、価格なんかを総合して選んでいるのかも知れない。本当は色々なボードを乗り込んで決めれればいいのだけれども、試乗会もそんなにやっている訳ではないし、行ったとしてもそんなに多くの板に乗ってみる事はできないので大概は店頭で決めることになる。

でもこれは考えてみれば、SEXをする前に「つき合ってくれ」なんて言って彼女にしてしまうぐらいリスキーなものだ。見た目(ボードだとデザインやスペック)だけで性格やあっちの相性(フィーリング)を確かめて無いわけだから。その意味では、自分にあった一本を見つけるのは彼女を捜すより難しい事だとも言える。

読者の中には「とりあえず乗れればいい」と言って、29,800円の特売ボードを買った人もいるかも知れないが、これはミスチョイスだ。「とりあえずやれればいい」と言う感じでメチャメチャ不細工な女と付き合うのと一緒で、かっこ悪い。

また「レンタルでいいよ」と言っているようでは、彼女が欲しいけど手っ取り早くソープに駆け込んで満足しているようなもので、これもよくない。こんな心構えではスノーボードをやっても上達しないし、彼女だっていつまでたっても出来ないだろう。

選ぶ場合まず注意しなければいけないのが、カタログデーターに振り回されてはいけないと言うことだ。なかには、お店の人より良く知っているなんて人もいるが、このタイプは自分のレベル以上のボードをチョイスしがちで、その上すぐに目移りして十分に乗り込まないうちにボードを買い替えてしまったりする。

言うなれば、アダルトビデオで頭でっかちになった童貞の兄ちゃんが初めてのSEXでやたらと体位を変えたがるのと似ている。また彼女を見つける際にも「恋人とはこうあるべし」等と理想ばかり高くしているので巡り会えない事が多い。

お店の人の勧めで買う場合も注意が必要だ。よく「最近のボードは昔と違って極端に乗りにくいボードは少ないから、長ささえ合っていれば、後はデザインで選らんでもいい」と言う人もいるらしいが、これにも落とし穴がある。言うなればパッと見では、極端なブスを見なくなったと言うのと同じで、実際には化粧がうまくなった(スペックやデザインを似せている)だけで、化粧をとってみればひどいという事もあるだろう。むしろ要注意だ。

次に「カーヴィングを憶えるんだったらこの板」とか、「パイプやりたいの?それともアルペンなの?」などと、目的や将来を見据えた選び方を勧める人もいる。これなんかは、彼女を作るにしても「将来結婚を前提にして」とか、「とりあえずクリスマスイブに一人では嫌だから」と言うように目的を明確にして作るようなもので、こんな事では本当にいい彼女を見つけることなど出来ないだろう。

むしろ、まず酔ったはずみでも何でもエッチをしてしまって、次の日の朝コポコポと言うコーヒーをたてる音で目が覚めて、「あれ昨日どうしたんだっけ?ここどこだろう」と思っていると、キッチンから女の子が出てきて「ごめん起こしちゃった」にっこり笑った時の笑顔に惹かれる方が自然な出会いといえると思う。

そう言う意味からは、サイズが合っていないとかは論外としても、とにかくピピッときたボードに出会って、乗って、乗って、乗り込んで、そのうち好きになるようなのが理想とは言える。

好きになったボードが理想のボードなのだから、理想を先にもって来るようではいいボード選びは出来ないと言うことだ。(次号「スノーボードの正しい選び方

その2:(実践編)につづく



追伸:本文を読み返してみたら、冒頭の所で、まるで宮本がボードに乗りまくったようにお姉ちゃんにも乗りまくっているような誤解を生じさせる表現がありました。謹んでお詫び申し上げます。
そういった事実はありません。

お茶の間ボーディング(Transworld Snowboarding誌99'05月号)掲載