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3,400万ドル(約39億円)分にも及ぶ予約注文を集めながら先日、事業停止を発表したドローンメーカー「Lilyロボティクス」社に新たな疑惑が浮上した。
米サンフランシスコ地方検事局はLily社を「プロモーション動画内で実在しないドローンの機能を宣伝し、消費者らを欺いた罪」で告発した。検事局によると動画に収録された映像は、ほぼ全て競合のドローンを用いて撮影されたものだったという。

Lily社の共同創業者のHenry BradlowとAntoine Balaresqueは2013年に、カリフォルニア大学バークレー校の地下室で同社を創業した。「飛ばないカメラを全て時代遅れにする」と宣言した彼らは大きな注目を浴び、同大学の学部生らが運営するFree Ventureを手始めに、SV Angelやアンドリーセン・ホロウィッツのパートナーを務めるShana Fisherから資金を調達した。

その後、DropcamやGoProの役員からも助言を得つつ開発を進め、2015年5月に公開したデモ動画は世界中の注目を集めることになった。しかし、その動画こそがLily社のトラブルの始まりだった。サンフランシスコ地方検事局は動画が、他社製ドローンを用いて撮影されたものであることを、社内のEメールや関係者の証言で突き止めたという。

訴状によるとLilyはデモ動画公開時に全く自社の製品を作っておらず、動画で宣伝された一人称視点の映像はGoProカメラで撮影されたものだったという。裁判資料として入手した社内メールで、CEOのBalaresqueはスノーボードの撮影カメラマンであるBrad Kremerに対し次のようなメールを送っていた。

「Lilyで撮影した動画が実はGoProで撮られたものだという事実はユーザーには知られたくない。編集の段階でそれが分からないように映像を加工してもらえないだろうか」

フォーブスはKremerにコメントを求めたが、係争中の事案についての回答は避けたいとの返事だった。Kremerからは加工を了承する返事が得られたものの、Balaresqueの心配は尽きなかった。Balaresqueは再びKremerにメールを送り「レンズに詳しい人々が、この映像がGoProで撮られたと見破ることを心配している。自分はレンズのことはあまり分からないが、嘘をつくと決めたからにはかなり慎重にやり遂げる必要がある」と述べていた。

スナップチャットに「身売り」を画策

検事局はまた、映像の一部は2,000ドルのプロ向けドローンのDJI Inspireで撮影されたと主張する。Lilyはデモ動画の撮影に外部メーカーのドローンを使用したことを一切明かしていなかった。

2016年1月のフォーブスの取材に対し、Lilyの広報担当者は「デモ動画は複数の動画クリップを組み合わせて制作されており、機能の向上のために複数のパーツを変更した結果、実際にユーザーの手元に届く機体は動画とは違うものになる」と述べていた。

プロモーション動画は詐欺だったにも関わらず、Lilyはメディアの大注目を集め、予約開始から2週間で1,300万ドル分の予約を獲得した。一台499ドルから899ドルのLilyはこれまで合計で6万台分の予約を集め、獲得した金額は3,400万ドル(約39億円)に及んでいる。

メディアも大きく寄与していたLilyの成功

Lilyの成功にはメディアも大きく手を貸していた。ウォール・ストリート・ジャーナルは「2016年の人々の暮らしを再定義するデバイス」と喧伝し、フォーブスも2015年の「30アンダー30」リストにLilyの創業者2名を選んでいた。

Lilyは当初、2016年2月に製品を出荷するとしていたが、その後「2016年の夏」に延期すると発表。顧客宛てのEメールでは、飛行ソフトの調整やハードウェアの改善といった理由を述べていたが、内部関係者は「遅延には明確な理由など無かった」と述べている。

11月にLilyはフォーブス編集部にメールを送り、デモを見せたいと連絡を寄越したが、直前になってキャンセルしていた。その後、今年に入りLilyは事業停止を宣言した。サンフランシスコ地方検事局はその翌日に同社を告発した。

Lilyの広報担当者は今回の提訴は事業停止とは、何の関わりもないと述べている。担当者はまた共同創業者らは訴訟が進んでいることを聞かされておらず、事業の停止は数週間前から検討中だったとも述べた。

関係筋からは「Lily側は告訴が進めてられていることを数か月前から知っていた」との声も聞かれる。数週間前に事業停止を決定しながら、何故彼らがツイッターで、「12月20日には製品の発送を開始する」と述べていたのかは理解に苦しむところだ。

顧客からは「この件は特別珍しいものではない」との声も聞かれる。フォーブスの取材に応えたJim Fawcetteという人物は「彼らは2015年の初めに金を受け取っておきながら、数か月も前からサポートのメールの返事を寄越さなくなっていた」と述べた。

落胆しているのは顧客たちだけではない。Lilyは1,500万ドルに及ぶ資金を主にスパークキャピタルから調達しているほか、シリコンバレー銀行から400万ドルを借り入れている。裁判資料でLilyは予約の堅調さを材料に、借り入れを行なったとされている。

資金繰りに苦しんだLilyは昨年、新たに1,500万ドルの資金調達を画策中だったとも伝えられる。ビジネスインサイダーの報道では、同社はスナップチャットの親会社であるスナップ社にもコンタクトをとり、買収提案を行なったが断られたという。スナップの担当者はコメントを避けた。

また、別の関係者はLilyがDJIに接近を図ったと証言している。2社は昨年の第4四半期に会談したが合意には達しなかった。

今回のLilyの騒動はこのところ過熱気味のクラウドファンディングに対する消費者の信頼を裏切るものとも捉えられる。Lily側は1月18日に出廷を求められているが、CEOのBalaresqueは現在、家族とともにフランスに滞在中だ。

「実在しない製品をデモ動画で宣伝したなら、会社を閉じるべきだ。それは詐欺と呼ばれる行ないであり、そんな連中は非難されて当然だ」と、シリコンバレーのVC関係者は怒りを込めてつぶやいた。

Forbes JAPAN
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170116-00014891-forbes-bus_all




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