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雪崩研究者、冬山で無念 信大OB池田さん、南アで滑落死

今月4日に南アルプス・三伏(さんぷく)峠を下山中に滑落死した池田慎二さん(43)=新潟県妙高市=は、国立研究開発法人土木研究所の雪崩・地すべり研究センター=同=の専門研究員で、NPO法人日本雪崩ネットワークの創設メンバーとして国内の雪崩対策に力を注いでいた。事故当時も研究の一環で南アを訪れており、関係者に衝撃を広げた。
飯田署などによると、池田さんは4日、同僚と2人で三伏峠で積雪調査をした後、下伊那郡大鹿村鹿塩の雪がほとんどない斜面を先頭で下っていて沢に滑落。多発性外傷による出血性ショックで死亡した。

同センター上席研究員の石田孝司さん(47)によると、池田さんらは県内の山岳地で雪の特性を継続的に調べる研究の一環で現地に入っていた。石田さんは「先月も同じルートを歩いたばかりだった。信じられない」と話す。

池田さんは信州大農学部の学生時代、北安曇郡白馬村に住んで北アルプス栂池高原の雪崩跡をくまなく調べたという。卒業後に民間企業を経て同センターに入り、全国の雪崩発生現場で雪の破断面をじかに観察し、データを集めた。信大で指導教官だったアルプス雪崩研究所所長の若林隆三さん(75)は「雪崩現場まで登る技術があるまれな研究者で大きな損失。これからという時だった」と悔しがる。

池田さんが理事を務めていた日本雪崩ネットワーク代表理事の出川あずささん(54)=横浜市=は「登山者やバックカントリースキーヤーの安全を最終目標に、登山ガイドやスキー場のパトロール隊員らへの雪崩教育に力を注ぎ、研究の成果を還元してくれた」と言い、「慎二がまいた種をこれからも大きくしないと…」と声を詰まらせた。

(写真:ゲレンデの外で発生した雪崩れの現場にレンズを向ける池田さん=1月27日、白馬村の白馬八方尾根スキー場)

信濃毎日新聞
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160209/KT160205FTI090005000.php