片品村の前武尊山(まえほたかやま)で1月31日昼、バックカントリー(BC)スキー中だった太田市の上毛新聞社員、吉田茂樹さん(36)が雪崩に巻き込まれて死亡した事故で、現場近くの積雪は人が滑る程度の刺激でも雪崩が発生する可能性があったことが、NPO法人「日本雪崩ネットワーク」(横浜市)の現地調査でわかった。
NPOは「今回のように登山届を出してフル装備で入山するBCスキーと、スキー場に来た客がロープを越える『コース外滑走』は全く別。両者を分け事故対策を考えるべきだ」と指摘している。

NPOの調査によると、吉田さんは知人男性と2人で山頂北方の剣ケ峰(2083メートル)へ縦走した後、滑走中に雪崩を誘発。幅約2メートルの斜面から沢状の地形に沿って約150メートル下まで流され、雪崩の末端で約1メートルの雪に埋まったとみられる。最初に雪崩が起きたのは標高1930メートル、40度超の斜面上だった。

別の斜面を滑走していた知人が雪崩に気づき、電波受発信機「ビーコン」で捜索。通りかかったBCツアーグループに助けを求め、すぐに吉田さんを雪から掘り出したが、すでに心肺停止状態だった。ヘリで救出されるまで約15人で心臓マッサージも試みたが、搬送先の病院で死亡が確認された。沼田署によると、窒息が原因だった。

片品村では1月29日夜から30日朝にかけて雪が降り、気象庁は村全域になだれ注意報を出していた。積もったばかりの新雪は結晶の形が残っていることが多い。次第に丸くなり結晶同士が硬く結びついて丈夫な積雪に変化する。現場近くの斜面では約40センチの積雪のうち上層部の約20センチはまだ十分な強度がなく、「急斜面なら人的な刺激で崩れる状態」だったという。

毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160204/ddl/k10/040/277000c



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