Prodaptive Snowboards

角野友基や鬼塚雅が参加して話題になったRed Bull主催のチャリティマラソンが日本でも初開催されたり、今年の2月にはHYWODのボス 岡本圭司が撮影中の事故で入院生活を余儀なくされるなど、スノーボード界でも注目される『脊髄損傷』。

これだけ医療が発達していても、元の生活に完全復活出来る確率は高くはなく、下半身に麻痺が残る下半身不随により車イスで生活を送っている人も少なくない。またケガや事故だけではなく『二分脊椎症』などで生まれつき歩くことが出来ない人たちもいる。

そんなハンデと戦っているのは何も患者や医療現場だけではなく、ここにスノーボードを通して本気で立ち向っている会社がある。
オランダを拠点とする会社『Prodaptive(プロダプティブ)』は、下半身麻痺で歩けなくなった患者にもスノーボードを楽しんでもらおうと、対麻痺患者用スノーボードを発明・開発した。バインディングにはFlow Snowboardingが協力している。

http://www.prodaptive.nl/

「麻痺患者用スノーボードのアイデアが生まれたのは、2010年のカナダ ウィスラーにさかのぼる」と、創設者のジーナ・ヴァン・デル・ワーフ氏が語る。

「私はウィスラーブラッコムでスノーボードのインストラクターとして働いていた当時、スノースクールを通じて地域の麻痺患者へのボランティアに関わりました。その中で、車イスで生活をおくっている生徒達にスノーボードをさせる解決策が無い事に気づかされました。それでその時は代わりにチェアスキーをやってみるよう勧めていたのです」と、ジーナが続けた。

ジーナは当時の同僚でもあったパラリンピック スノーボーダーのTyler Mosher(タイラー・モッシャー)と、ハンデを背負った人向けのスノーボードギアの不足について何度も話し合いを行ってきた。その時に工業デザイナーとしての血が騒ぎ、オランダに戻ると早速 試作品の開発に取り組み、その中の一つがこうして形になってProdaptiveを設立したという。

Prodaptiveをスタートさせると、後にパラリンピックで金メダルを獲得したパラリンピック スノーボーダーのビビアン・メンテル(Bibian Mentel)が、その試作品の映ったビデオを見て心を動かされ、麻痺患者のボランティア団体“VGW”のジャクリーン・ヴァン・デル・リンデン氏と共に協力をしてくれることに。また、オランダのスキー連盟と別のボランティア団体“SHOS”からも賛同を得た。



「彼らはチェアスキーを教えて来た経験から非常に貴重なアイデアやフィードバックを与えてくれました」と、ジーナ。

Prodaptiveのプログラムの背景にはまず、初心者のニーズに焦点を当てることから始めた。装備は多くの患者に合うようにし、サイドスリップやサイドターンなど初心者の技術に対応できるよう調整が可能なものにする必要があった。

また、オランダの屋内ゲレンデ「Snowworld(スノーワールド)」が、テスト滑走の機会を与えてくれたことにより、年間を通して新しい試作モデルを試せる環境を得た。さらにビデオや開発計画書などを見たオランダのスポーツ後援団体「InnosportNL」から、試作品を製作するのに必要な費用への投資を受けることにもなった。

こうしてデルフトハーグ大学にて試作品の改良を幾度となく行ってきたProdaptive。二分脊椎症で苦しむ一人の患者、ティム・ヘルミングが最初の従業員兼テストライダーにもなった。



「我々は第5胸椎損傷の人々のテスト滑走も行いました。しかし、それより高い損傷にもなると自主的に乗るのはかなり難しくなってきます。中心部の筋力低下で起きていられるのが困難になるので、追加のバックサポートも現在開発中です。というのも、症状は患者それぞれ違います。だからといってここまでの人は出来て、ここまでの人は出来ないといった境界線を引きたくないからです。どんなに負傷がひどくても、友人やガイド、インストラクターとの二人三脚で滑れば楽しむ事は可能なのです」と、ジーナが語った。

Prodaptive Snowboards

Flow Snowboardingのバインディングは、デルフトハーグ大学の工業デザイン学科の学生グループによりProdaptiveプロジェクトに取り入れられ、より高度で先進的なデザインへと改良される。

「次の課題は我々の知識をいかに初心者向けの製品に反映させられるかです。実際問題、フレームの複雑さを初心者のニーズの範囲内に抑えなくてはいけません。このプロトタイプは、ウィスラー ブラッコムやサンシャインビレッジ、サンピークスといったカナダ各地でテストされ、新たな改良点・問題点を抱えて戻ってきました」と、ジーナ。

今回Prodaptiveは、より手ごろな価格で生産する為にデザインを最適化した。今までの初期設計では製品化するのにとても高価だったのだ。

カナダの医療関係のイベントなどを通して何人かのインストラクターからフィードバックをもらったので、来年は改良版に取り掛かる。アメリカのパークシティにあるナショナル アビリティ センターのスペシャリスト達からもらった意見も反映される予定だ。

製品はデモツアーやイベントなどで体験する事ができる。希望者には公式サイトにてメールでの注文も可能とのこと(日本への発送は要問合せ)。



○Prodaptive
http://www.prodaptive.nl/

○Prodaptive | facebook
https://www.facebook.com/Prodaptive

(via: Flow Snowboarding Blog

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