蔵王

<蔵王山>温泉街に不安 風評「避けられぬ」

東北有数の観光地に動揺が広がり、行政は注意喚起に追われた。宮城、山形県境の蔵王山(蔵王連峰)に「火口周辺警報(火口周辺危険)」が出された13日、周辺の温泉旅館などには予約客から問い合わせやキャンセルが相次いだ。警戒配備を敷いた自治体では情報伝達の不備も見つかり、課題が浮き彫りになった。
山形市の蔵王温泉スキー場はシーズン最終盤に入った。スノーボードを楽しんでいた北海道小樽市の自営業石沢弘範さん(37)は「防災ヘリが近づき避難を呼び掛けられ、何事かと思った」と驚いた。市は看板を増設するなど注意喚起に躍起だ。

温泉街は昨年秋の火山活動活発化以来、風評被害におびえる。蔵王温泉観光協会によると今冬は、観光客が前季を約1割下回った。

大平ホテルの小山広隆総支配人は「今回も既にキャンセルが出ている。影響は避けられない」と不安そう。協会の伊藤八右衛門会長は「利用客への正確な情報伝達に努める」と語った。

宮城県側にも不安が広がる。想定火口域のお釜から約10キロにある蔵王町の遠刈田温泉。ホテルの男性支配人は「大型連休前のこのタイミングでの警報は正直痛い」と打ち明けた。

蔵王エコーラインに近いあるホテルでは警報発令後にキャンセルの電話が相次いだ。昨年9月、長野、岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)が噴火以降、客が減っていると言う男性社長は「もうたくさんだ」とやり場のない怒りをぶつけた。

遠刈田温泉と同様、お釜から約10キロに位置する川崎町の青根温泉。旅館経営の原玖二陽さん(72)は警戒範囲が火口から1.2キロであることを踏まえ「安心をしっかり説明し、風評被害が広がらないよう願うばかりだ」と話した。

お釜に近い同町の温泉旅館では、予約客から「泉質は変わっていないのか」など問い合わせの対応に追われた。従業員の女性は「私たちはここで暮らし、子どもを育てている。地震計だけでなく、そうした現地の姿をよく見てほしい」とやるせない思いを語った。

約3キロにある蔵王町の蔵王寺では登山者向けに、昨秋から防じんマスクや携帯トイレ、水を備蓄する。本郷広之住職は「自然災害は人知で計り知れない」と冷静に受け止めた。

(写真:警報発令の張り紙を確認するスノーボーダー=13日午後3時20分ごろ、山形市の蔵王温泉スキー場)

河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150414_13015.html

▼4月13日山形蔵王温泉スキー場での出来事


▼蔵王に火口周辺警報、地元では生活や観光に心配(TBS)


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