「お釜」の展望台に注意喚起の看板を設置する宮城県職員ら=10月11日

やや活発な火山活動が続く宮城、山形両県境の蔵王山(蔵王連峰)は、紅葉シーズンがほぼ終わった。

9月の御嶽山噴火の影響により観光客の足が遠のく懸念もあったが、大きなダメージはなく、関係者はほっと胸をなで下ろす。オープンが迫るスキー場では、安全対策が急ピッチで進む。
蔵王エコーライン(宮城県蔵王町−上山市)は4日夕、冬季通行止めとなった。噴火が想定される火口湖「お釜」近くのレストハウスまで行ける有料道路「蔵王ハイライン」の利用は9月が約2万2000台(前年同期比22%増)、10月が約2万700台(9%増)で、2カ月連続で前年を上回った。

管理する宮城交通の広報担当者は「火山活動の影響は特になかった」と安堵(あんど)する。レストハウスの関係者は「いまだに続く福島第1原発事故の風評被害の方が大きい」と明かす。

お釜から約11キロ離れた蔵王町の遠刈田温泉。町の緊急調査では、10月の宿泊予約のキャンセルが12施設で少なくとも93件、360人あった。町農林観光課は「例年と同じ規模だ」と説明、観光客減の実感はない。

「10月にお釜の白濁が報道され、一部キャンセルが出たが、新規の宿泊客もおり、観光客が減った感触はない」。山形県側の蔵王温泉観光協会の黒崎広宣事務局長もそう振り返る。

各旅館が避難の手順をあらためて点検、温泉街にある非常用放送設備による避難誘導も確認した。黒崎事務局長は「温泉街がお釜から7、8キロ離れ、安全なことを丁寧に説明していく」と言う。

両県や周辺6市町などでつくる「蔵王山火山防災連絡会議」は10月31日の第1回実務者会議で、お釜から半径4キロ以内の入山規制を含めた対策を講じることを決めた。

蔵王温泉スキー場(山形市)では、最上部のコースの一部が4キロ圏内に入る。

蔵王ロープウェイは地蔵山頂駅にヘルメットや飲料水を配備。同社幹部は「噴火警報の際には、山頂駅のスピーカーで駅舎への避難を呼び掛ける。パトロール隊がスキー客に下山を促し、誘導することも考える」と話した。

みやぎ蔵王えぼしスキー場(蔵王町)を運営する宮城蔵王観光の小野良仁常務は「緊急の避難場所、行政との連絡体制を確かめた上で、12月1日のスキー場開きまでに避難誘導マニュアルを作り、従業員の訓練を実施したい」と準備を急ぐ。

日本観光学会の三橋勇会長(宮城大非常勤講師)は「観光は安全や治安が確保されてはじめて成立する。防災との両立は難しいテーマだが、観光客に自信を持ってPRできる対策を構築する必要がある」と指摘する。

(写真:「お釜」の展望台に注意喚起の看板を設置する宮城県職員ら=10月11日)

河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201411/20141109_13013.html

蔵王山噴火に備えを 宮城・蔵王で講演会

蔵王山の防災対策について議論したパネル討論

宮城、山形県境の蔵王山(蔵王連峰)の火山活動や防災対策を考える講演会(仙台管区気象台など主催)が8日、宮城県蔵王町のございんホールであり、約480人が参加した。

基調講演した山形大の伴雅雄教授(火山学)は「東日本大震災の震源に近い東北の活火山は、特に噴火が危ぶまれる」と関連性を指摘。蔵王山の噴火の歴史を振り返って「過去1000年間はおおむね100年に1回噴火した」と説明し、火山灰の降灰や火砕流、火山泥流への備えを求めた。

パネル討論で、同気象台の巻和男火山防災情報調整官は「振幅の大きな火山性微動やお釜の変色、火山ガスの発生などがあれば、火口周辺警報の発表を考える。全く安全ではなく、近づいているという認識を持ってほしい」と語った。

宮城県の山内伸介危機対策課長は、ハザードマップの見直し、入山・交通規制のマニュアル作成を進めている状況を報告し「住民の皆さんには日頃自らの安全を考える自助の対応をお願いしたい」と要請した。

蔵王連峰のジオパーク(地形や地質を生かした自然公園)構想を提唱する村上英人蔵王町長は「共に生き、学ぶ姿勢が必要。安全面に配慮し、上手な付き合い方を探りたい」と述べた。

(写真:蔵王山の防災対策について議論したパネル討論)

河北新報
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○蔵王温泉スキー場
http://www.zao-spa.or.jp/

○みやぎ蔵王えぼしリゾート
http://www.eboshi.co.jp/

○みやぎ蔵王えぼしリゾート facebook
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