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Nike(ナイキ/Nike Snowboarding)が、長期に渡り巨額な投資をしてきたが、十分な利益を生み出せなかったとし、スノーボード事業を撤退することが分かった。今後はスケートボード事業の拡大を目指す。

商品のラインナップは2014-2015モデルが最後となるが、かろうじてゴーグルの方は今後も継続して展開していくとの事だ。所属チームライダー達は契約期間満了までサポートされる。

Nikeは先日、全7タイトルで構成される新たなウェブ ムービー プロジェクト「EMERGENCE(エマージェンス)」の第一弾を公開したばかりだ。これがNike Snowboardingとしての最後のムービーシリーズとなる。

そもそもNikeは2000年頃からスノーボード業界にナイキのアウトドアブランド「Nike ACG」として参入。自身のシグネチャートリック「チャックフリップ」や、当時「ダブルバックフリップ」を唯一メイクできるライダーとしてハーフパイプのトップに君臨していた大物ライダー、マイク・マイケルチャックをチームに加えた。

マイク・マイケルチャック

そして「これからはスノーボード事業に力を入れていく」とし、横乗りブランドとして人気だったCounter Culture(カウンターカルチャー)と提携し、製造ラインを確保した。

日本でも石川健二、福山正和、そして後にX-TRAIL JAM IN TOKYO DOMEでの活躍で一気にスターダムに駆け上がった鈴木 伯といったトップライダー達を獲得した。

2002年に入るとトップ サーフ アパレル ブランドのHurley International(ハーレー インターナショナル)を買収し、サーフ事業も視野に入れ始めるなど、横乗りアクションスポーツ界でブランディングを確立させようと当初より巨額な金額を投入してきた。

それでも企業の思惑通りに行かず、Nike ACGは大きなブランドの飛躍が見られないまま衰退、そして撤退していく。コアなスノーボードブランドが人気を博し次々と登場したスノーボードバブル時代には、ナイキのような一般スポーツ用品ブランドは受け入れられなかったのだ。

NIKE6.0

時は過ぎ、2008年になるとバイク、サーフ、スノー、スケート、ウェイク、インラインの6つのシーンをサポートしている「Nike 6.0」としてスノーボードシーンに再登場した。再びスノーボード事業に巨額を投じて今度こそはと一気に浮上を狙った。

アウターウェアラインにも力を入れ始め、バンクーバーオリンピック銀メダリストのピートゥ・ピロイネン(Peetu Piiroinen)、メイソン・アギーレ(Mason Aguirre)、ダニー・キャス(Danny Kass)、ホルダー・ヘルガソン(Halldor Helgason)らビッグネームを次々と獲得していく。

そして大会にも積極的に冠スポンサーとして看板を掲げ、プロモーション活動に全力を注いだ。チームも最高、プロモーションも最高、プロダクトも最高、これ以上に無い条件を揃えた。その結果、ナイキのFacebookではバートンの3倍以上のフォロワーの獲得に成功するなど、Nike6.0の戦略プログラムは順風満帆にいっているかのように見えた。

nike60event

そして2010年頃になると「Nike Snowboarding」として、さらなる高機能なプロダクトの開発、ゴーグルの参入、チームやプロモーションの強化とブランドを構築していく。

だが大衆には「大型ブランド」程度の受け入れで終わってしまったようだった。企業努力のわりに大きな消費へとつながらず、収益分岐点を越すことが出来なかったのだ。

このようにナイキが事業に巨額を投じて撤退する動きは過去にも見られ、1989年頃にはナイキのマリンブランドとして「AQUA GEAR(アクアギア)」を本格的に展開させるも2、3年後には撤退。

2011年には鳴り物入りでサーフ事業に参入し、ジュリアン・ウィルソン、カリッサ・ムーア、コロヘ・アンディーノらビッグネームを次々と獲得するも2年後の2013年には撤退している。

利益重視である株式上場企業として、販売目標金額を達成できない事業部門をこのまま続けていく訳にはいかず、それは長期に渡り巨額な投資をしてきたスノーボード事業も例外ではなく、ナイキは大きな決断を迫られていた。

平野歩夢

新たに獲得した平野歩夢のオリンピックでの活躍もあり、Nike Snowboardingがこのまま勢いに乗るのかと思われたが、皮肉にもナイキの新プロジェクト「JUST DO IT(行動にうつせ)」は、「JUST DONE(終わった)」と揶揄される結果となってしまった。

最後にドイツのスノーボードマガジン「pleasure」が掲載したNIKEへのインタビュー全文を掲載しておく。

Nike Snowboardingの声明とQ & A

Nike SB(※ナイキのスケートボードブランド)は、最大のブランドの原動で、成長の機会のあるスケートボードにイノベーション・開発・デザインとマーケティング リソースを集中させます。現在の2014/15ナイキ スノーボード コレクションで小売の最後になります。

Nike Snowboardingがスポンサーであるチームライダー達はどうなりますか?
弊社はナイキ スノーボードに所属するアスリートをプロモーションや競技で使用するギアなどにおいても継続して現在の契約が切れるまでサポートしていきます。
Nike Snowboardingにおける商品の最後のシーズンはいつになりますか?
現在のHoliday 2014シリーズで小売りにおいてナイキの最後の発表になります。
Nike Snowboardingはどのような収益を会社にもたらしましたか?
私達はアクション スポーツ ポートフォリオの個別のカテゴリー中で収益を出していません。
ナイキのアクションスポーツの最新の収益はどうですか?
現在、弊社は四半期収益の前の静かな時期なので、財務的な結果をこの時点ではお話できません。
社員は解雇されますか?もし解雇するのであれば、人数と契約解除の提案はされますか?
現段階では対象になる社員がいるかは分かりません。必要であれば、別の役割が必要な部署を努力して見つけます。雇用を失うことがあっても、ナイキは社員を適切に管理して、サポートし、社員の労働組合と必要に応じて相談します。
なぜ何年間もスノーボードに投資してきてこのような結果になったのでしょうか?
この決断はNike SBだけに集中できるようにした決断で、最も成長できる可能性の機会だと考えています。ナイキは革新的な商品をデザインし、エキサイティングな経験を作り、弊社のアスリートと小売パートナーをサポートしていきます。これは過去40年間に渡り、弊社が多くのスポーツに対して行ってきたことです。
これは「巨大なブランド」が市場に参入し、「状況が難しくなる」と出て行くというケースでしょうか?
Nike SBは過去10年間にわたり全面的にスケートボードに関与してきました。2014年度は今までの中で、Nike SBの最も成功した年でした。弊社はスケートボードとアスリート達をサポートし続けることに努め、この範囲に集中して努力し続けるのが一番ベストな方法だと感じています。
Nike Snowboardingはなぜ無くなるのですか?
スケートボードに集中するためです。ナイキはNike SBブランドを通じて、活動することを決定しました。
ナイキがスポンサーをしているスノーボードのイベントはどうなりますか?
弊社はナイキスノーボードのスポンサーをしているイベントは今後行いません。
それではナイキのスノー ゴーグルについてはどうなりますか?
ナイキブランドのゴーグルについては継続して展開していきます。

(interview:pleasuremag

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Nike Snowboarding /2014-2015スノーボードカタログ