スノーボードにおける脳震盪

スノーボードをしているほとんどの人が、一度でも頭を打ってしまった事があるかと思います。単純に転んだ時だったり、逆エッジだったり、キッカーでのランディングミスだったりとetc・・・。

その中でも頭を強く打った瞬間に、「あれ、なにしてんだろう?」、「ここどこのスキー場だっけ?」、「誰と来たんだ?」といったプチ記憶喪失になった経験がある人も少なからず居るのではないでしょうか。

脳はある程度のスピードで激しく揺すぶられると、脳の深い部分のケーブルがダメージをうける。それがいわゆる「脳震盪(のうしんとう)」です。

脳震盪の主な症状
  • 意識喪失(ぼんやり、めまい、ふらつき、霧の中にいるような気分)
  • 記憶喪失(健忘、何かがおかしい)
  • 錯乱及び失見当(時間や場所や人に関する見当づけができなくなること)
  • 頭痛、嘔吐、集中できない、頭部の圧迫感、けいれん
  • 物が二重だったりぼやけて見える、感情的、光や音に敏感、不安・心配

基本的にこれらは短期症状であり、一般的に知られていてよくあるのは「記憶が飛ぶ」という症状でしょう。事故前の状況を思い出せない状態です。

東京慈恵会医科大学病院脳神経外科の谷諭教授の話によると、「(それらの)症状は短時間で消失することが多いのですが、脳震盪を起こしたらスポーツを中断し、専門家の診察を受けることが不可欠です。」と注意喚起しています。

脳震盪の症状は失神だと思っている方が多いのですが、それだけではありません。脳震盪の前後のことを忘れる健忘や時間や方向感覚、認識力などが失われる失見当識(しつけんとうしき)といった認知機能障害、平衡感覚の失調、頭痛やめまい、物が二重に見えるといった症状も起こります。

症状は短時間で消失することが多いのですが、脳震盪を起こしたらスポーツを中断し、専門家の診察を受けることが不可欠です。

出典 週刊ポスト2014年9月5日号

脳震盪でも特に注意が必要なケース

脳震盪後、症状が落ち着いて来ても「頭痛が続いている場合」は注意が必要です。脳と硬膜を繋いでいる血管から出血している可能性があり、また出血していても量が少ないためCTスキャンでも発見されないことがあるからです。

頭痛のままスポーツを再開し、再び脳震盪を起こすと命に関わります。以前に出血した血管の瘡蓋(かさぶた)がとれて出血し、急性硬膜下血腫を起こし、さらに脳が腫れて死に至るのです。

2回目の脳震盪は大変危険なので頭を打たないように注意!

最初の脳震盪後にちょっと休んで、「もう復活したから大丈夫。滑り行こうぜ!」とか言って調子にのり、再び頭を打ってしまうと、ほとんどの場合が2回目の脳震盪を起こします。

脳震盪を起こしたことがあると2回目の脳震盪を起こすリスクは3倍から5.8倍にもなるからです。

しかも2回目の脳震盪は最初の症状だけにはとどまらず、重大な脳浮腫、血管損傷を引き起こす可能性がグンとあがります。

その発生率ははっきりしないが文献上17例の「死亡」の報告がされていて、全体の50%もの高い死亡率、100%の疾病の発症率です。

特に3回以上の脳震盪を起こしてしまうと、鬱や認知機能障害のリスクが明らかに増すようです。そうなるとそれはもう「空きれい・・・。」しか言わなくなるような廃人コースかもしれません。

スノーボードにおける脳震盪2

脳震盪患者の15に1人は同じシーズン中に 2 回目の脳震盪を起こし、その神経的回復は遅れます。正常群と比べ3回以上脳震盪歴があると軽症認知能力低下は5倍になり、記憶障害は3倍にもなるのです。

「脳震盪なんてしょっちゅうだよ。余裕!余裕!」とか言っちゃってる人は既に頭がヤバイ状態であることすら認知できていないのかも知れません。そういう人の意見は無視して早々に病院に行った方が賢明でしょう。

脳震盪を起こした場合は24時間は単独行動を避ける

自己判断で「すぐに起き上がれたから問題ない」と『脳震盪』を軽視しては危険です。先に述べたように、自宅に帰り、気づかぬうちに『脳内出血』、『脳挫傷』が進行し、誰かが気がついたときはもうすでに手遅れになっていては遅いのです。

ですので、『脳震盪』を起こした場合は24時間は単独行動は避けてください。

『脳震盪』を起こしたとしても、冬の期間は短いですから、またすぐにスキー場に行きたくなるでしょう。ですが、『脳震盪』を起こした場合は医師の指示の下、段階的なプログラムを行い復帰してください。復帰までは最低でも7日間は時間が必要となります。

出典 第二期VOL26.「ウィンタースポーツで起こりやすいケガと予防」

女性の方が脳震盪を起こしやすく、悪化や重症化がしやすい。

比較的に女性の方が脳震盪を起こしやすいようです。

BMI が同じでも男性より女性の方が脳震盪を起こしやすく、しかも症状の悪化が大きかったというデータが出ています。

ガールズボーダーの方は特に注意が必要です。

脳震盪の予防

スノーボードではヘルメットをする事により脳震盪は「減少」します。

ただ新型のヘルメットは衝撃力吸収、減弱に優れるが、脳震盪を「予防」できるかまだ実証はされていません。

ようするにヘルメットによって外傷は予防できるが、衝撃からくる脳の揺さぶられまでは防げない、しかし脳震盪を引き起こす確率は下がるだろうということです。

特に初心者の逆エッジ転倒率は非常に高く、重症や死亡例も少なくありません。脳震盪に止まらず、頭蓋骨骨折や急性硬膜下血腫といったリスクもあるのでヘルメットは被るようにしましょう。

今はオシャレでカッコイイ(かわいい)ヘルメットがたくさん出ているので、検討してみてはいかがでしょうか?

【記事参考資料】
スポーツによる脳震盪の診断治療(pdfファイル)