女性セブン2014年8月21・28日号

美人アスリートスペシャル対談・・・のはずがいつしか破顔一笑の“女子会”に・・・

2月、ソチ五輪スノーボード女子パラレル大回転で日本人初のメダルとなる銀メダルを獲得した竹内智香選手。

「智香だからできるんだよ」周囲はそう讃えたが、今から7年前、彼女は代表チームから外された選手だった。
そんな彼女が、起伏に富んだ半生を綴った『私、勝ちにいきます』(小学館刊)を上梓。同書を読んだ先輩にして友人、高橋尚子さんとの特別対談が実現。

ふたりの会話は、成功へのヒントで満ち満ちていた──。

高橋:今年2月のソチ五輪、スノーボード女子パラレル大回転で日本人初の銀メダルを獲得。おめでとうございます!

竹内:ありがとうございます。でも正直、金メダルが獲れなくて本当に悔しかったんです。五輪4度目となったソチは、新たなフィジカルトレーニングやコーチのフェリックスを含め素晴らしいスタッフたちのおかげで完璧な仕上がりだっただけに、私は金メダルのことしか考えていなかったんです。

 それが、決勝ラウンドの2本目にコケちゃって。転んで負けて悔しかったけど、コーチやスポンサーのかたがたが喜んでくれたり、日本人のみなさんの声援を聞いた時、“メダルが獲れてよかった”って思いました。でも、金じゃないから、やっぱり悔しかったな(笑い)。

高橋:キャスターとして智香ちゃんを取材した時、いちばんびっくりしたのが、国内練習で雪の上に乗らなかったこと。フィジカルトレーニングばっかりで、全然滑らない。私は走ってないと不安で仕方ないタイプだから、なんて天才肌な人なんだろうって。

竹内:そうなんですか(笑い)。

高橋:ソチでも取材に行ったんだけど、待てど暮らせど本番の会場に全然来なくって。取材に来ていたテレビ局の人に聞いたら、“今日は天候が悪いから、竹内さんは来ないよ”って(笑い)。

竹内:2010年から2011年シーズンにかけて、私は「頭の中で滑る」トレーニングをしていました。練習で滑った雪質の感触や環境を、家に戻ってから脳に記憶させて、オフの時期や悪天候で練習できない時に頭の中で滑ってみる。そのおかげでフィジカルトレーニングに時間を使えるし、いつも良いイメージで本番に臨めるんです。

 イメージトレーニングはスノーボードに限らず、いろんな分野で役に立つといわれています。実際にあった成功体験を細かいところまで記憶して、それを思い返すように初めからイメージしていくと、現実に繰り返したかのような経験値が得られると思います。

高橋:それにしても、本番になって雪をひと目見た瞬間に“ああ、私の雪だ”って自信が持てたんでしょ? オンとオフの切り替えもすごく早いんだと思う。本番前に練習ができなかった時は、何をしてたの?

竹内:マトリョーシカを作ってました(笑い)。

高橋:ええっ!?

竹内:選手村にマトリョーシカの色塗りがタダでできるところがあって、そこにフェリックスと行って、ずっと色塗りしてたんです。本番が近くても、いつもの自分でいられる時間がないと、レースで集中力が使えないので(笑い)。

 あ、そうそう、私、レース会場に行ったのは本番当日が初めてだったから、大変なことが起きたんです。フェリックスと会場に向かう途中で道に迷っちゃって、「このままじゃ、間に合わないよ!!」って、大げんかしちゃいました。

高橋:本番間際で!?

竹内:はい、そうです。あの日、いちばん緊張したのはレースじゃなくて、実はその時でしたね(笑い)。人間の集中力はそうそう長くは続かないもの。肝心な時にちゃんと集中するためにも、リラックスする時間は大切なんです。

スイス代表チーム入りが転機に

1999年に行われた長野五輪を見て、竹内さんは本格的にアルペンスノーボードを始めた。しかし、「日本人はこの種目で世界に通用しない」、当時はそれが常識だった。そうした中、彼女は2012年12月にイタリアで開催されたW杯で初優勝。そして、前述の通り、ソチ五輪で銀メダルを獲得する。転機は年8月、強豪国スイスのナショナルチームに入ったことだった。

竹内:尚子さんは自分を成長させるために、実業団を転々とする厳しい環境を選ばれたんですよね。

高橋:当時、小出義雄監督に「実業団チームで走らせてください」と申し入れたんだけど何度も断られたの。智香ちゃんもスイスの代表チームには直談判したんでしょ?

竹内:はい。私は当時23才で、日本代表では最高齢になり、代表メンバーから外されてしまったんです。それで、もう失うものはなにもないし、自分を試してみたくて、強豪国のスイス代表チームに直談判したんです。でも何度も断られて。「どうして、スイスチームに知らない日本人選手が入るのか?」って。それでも粘って、まずは2か月限定で練習への参加が許されました。

高橋:しかも、ドイツ語を話せないと練習参加は認められなかったんでしょ?

竹内:スイスにベビーシッターをすることで無料で住まわせてくれる家があったので、ベビーシッターをしながら覚えました。

高橋:私も英語は勉強したけど、そのうえドイツ語もなんて本当にすごいと思うよ。

竹内:ありがとうございます。日本の代表チームを外れたことが悔しかったし、日本人は世界に通用しない、という言葉を見返してやりたかったんです。このまま手ぶらで日本にも帰れないという“意地”もあったと思います。

「スイスへ行けばなんとかなる」ではなく、「なんとかする」という強い気持ちで行動していました。

高橋:その意地とプライド、そして志が高いからこそ4度目のオリンピックでメダルが獲れたんだよね。

外食は一風堂や九十九ラーメン

高橋さんを驚かせたのが、竹内さんの食生活についてだった。

高橋:マラソンなど陸上競技では体重を減らさないといけないけれど、スノーボード競技の場合はどうなの?

竹内:体重はあまり気にしなくていいので、好きなものを食べています。お菓子もジュースも普通に。

高橋:お菓子? ジュース? それで大丈夫なの!?

竹内:はい、大好きなんで(笑い)。実は今、新しく通いだした都内のトレーニングジムの隣に駄菓子屋さんがあるんですよ。

高橋:その環境はまずいなぁ(苦笑)。

竹内:いつも駄菓子屋さんに立ち寄って、買い込んで食べながら帰るのが、最近のルーティンになっています。

高橋:ありえない!(笑い)。でも、9月からはフェリックスさん(竹内さんのコーチ)が推奨するオーガニック生活が始まるんでしょ?

竹内:そうなんです。以前にもフェリックスとスーパーマーケットに食料品を買い出しに行った時、私がスナック類やジュースをカゴに入れていたら、「お菓子はダメだ!」と棚に戻されました。

高橋:そこまでして食べたいんだ…(笑い)。まだ若いかもしれないけれど、30才過ぎたら食生活も気をつけないとダメだよ。きちんと栄養を摂らないと判断力や集中力が低下しちゃうのよ。

竹内:食事で集中力が変わるということですか? 同じお腹いっぱいでも、お菓子とご飯は違うってことですか?

高橋:全然違うから! 私、今、トップアスリートと話をしているとは全く思えないよぉ〜(笑い)。

竹内:でも私、ソチの時も控え室でハッピーターン(楕円形の洋風せんべい)を食べて、お昼寝してから試合に行ったんですよ。ハッピーターンを食べると元気になるから。

高橋:本当に緊張した感じは全然なかったね。いつもの普段通りの智香ちゃんだもんね。そういう意味ではいいのかもしれないけど、食事面ももっと気を使ってみて。バランスのとれた食事をして、山登りや高山でトレーニングすると、足場が悪いところで瞬時に反応ができたりするんだから。

 普段食事はどうしてるの? まさか外食ばっかり?

竹内:はい、ラーメンとか(笑い)。東京では一風堂か九十九ラーメン! それか、カレーライスか、定食屋さんか。でも、定食屋さんに行く時の私は結構立派だと思います。魚、サラダ、ご飯、お味噌汁ですから。

高橋:智香ちゃんにおすすめしたいものがあるんだけど…私、最近、釜飯にハマってるの。旅館にあるような下に固形燃料がある1人用の釜が2000円くらいで売っていて、火をつければ自分で見なくても、20分後には炊けてるの。すごい便利だし、いろんな具材も入れられて、体にもいい。

竹内:う〜ん、そっか。お菓子だけじゃダメですか。基本的に体調はいつも調子がいいけれど、今度実験してみます。

高橋:是非やってみて(笑い)。何を食べた後が、自分の体の調子がいちばんよかったかをノートに記録することがとても大切よ。

35〜36才までに男の子2人ほしい

竹内:私は結婚するならとにかくしっかりした人。優柔不断は嫌、引っ張ってくれる人がいい。あと、一緒にいるときはお互いの時間を大事にするけれど、ある程度自分の時間はきちんと分けたいんです。

高橋:絶対必要だと思う。私は、恋人がマネジャーとしていてくれる(編集部注:高橋さんは2012年3月に個人マネジャーとの交際を発表している)ので、普段、24時間ほぼ一緒。逆に休日は、相手が何をしているか、わからない。だから、普段が一緒の分、お休みは、私は私の行動、彼も自分の時間を持つことがすごくいいと思う。

竹内:でも仕事が一緒って、大変なときはないですか?

高橋:全然ないよ。

竹内:それは、すごい。

高橋:全部やってくれるから。引っ張ってくれる感じだし。仕事では私が率先して動くけれど、家では愛犬が彼の後ろをついて回り、その後ろに私がついている感じ。智香ちゃんは、結婚とか子供がほしいと思わないの?

竹内:35、36才までには男の子が2人ほしいです。女の子は面倒だから(笑い)。尚子さん、子供は?

高橋:子供ねえ。私はもう、ほしいほしくないと夢を語るような年じゃないかもしれないし。本当にほしいんだったらそろそろ焦らないといけないな?と自分のお尻を叩くという、どっちについたらいいのかわからない状態(笑い)。今の仕事は忙しいけど面白かったりするのでつい先のことより明日の仕事は何だっけ?みたいな感じ。すごい毎日が充実してるからかなぁ。

竹内:日々充実して動き回れる時間って、もし70、80まで生きたとしても、そんなに長くないと思んです。子供がいたらその子に時間を使わなきゃいけないし、そうしたら今のような生活は無理。ほんとに家族がほしいと思わなきゃ、すごい覚悟が必要だと思います。

高橋:う〜む、今もう、まさに「覚悟を持ちなさい」と言われている感じがする(笑い)。

竹内:別に結婚する、しないは大事じゃない気がします。結婚は紙(婚姻届)の上のことで、判を押すか押さないか。

高橋:本当にそう。私、婚姻届はいつ出してもいいのよ。明日でも3週間後、3か月後に出してもさ。いろいろ出してみたいタイミングが仏滅ばかりが続いてしまって(笑い)。すごい簡単なことなんだけどね。あっ、余計なことまでしゃべっちゃった…。

(※女性セブン2014年8月21・28日号)