スケートボード施設

近年の少子化などで各私立大学が定員割れ対策を練る中、札幌大学(札幌市豊平区)がユニークな取り組みを始めている。昨秋、スケートボード施設「プールパーク」が完成。そこで活動する「Xスポーツ部」が認知度を上げている。

Xスポーツはスケートボードやスノーボード、サーフィンなど、若者に人気で、高さなど離れ技を競う「エクストリーム(過激な)スポーツ」を指す。全国的にも珍しい部で、現在30人ほどが所属する。
部になって3年目。今年の新入部員10人のうち、部が目当ての入学者は6人もいた。

札幌南陵高時代にスノーボードクロスの全日本選手権ジュニア男子で優勝した冨田優麻(ゆうま)さん(18)もその一人で、雪のない時期はスケートボードに取り組む。「スピードをつける動作が似ているし、バランス感覚も養える」。目標は2018年の平昌(ピョンチャン)五輪出場だ。

滝川高時代にスノーボードで好成績をあげた安田伶凪(れいな)さん(19)はテレビの番組で施設の存在を知り、「この環境でやりたいと思った」。

施設は倉庫として使われていた屋内プールを改修して設置。約300平方メートルの空間にすり鉢状の「ボウル」などスケートボードの設備が並ぶ。

監督は大学職員の橋本要さん(41)。4年前に同じ趣味の学生が集まる場になればとサークル活動を始めた。大学の広報担当として進学相談会などにも足を運ぶ橋本さんのもとには、青森や岡山、香川など道外から進学の問い合わせが来るようになった。

橋本さんは「スノボやサーフィンの部はあっても、これだけ複合した部はないと思う。北海道ならではの部で関心を持ってもらえている」。

日本私立学校振興・共済事業団によると、道内の私立大の入学定員充足率は2010年春に100・12%だったが、昨年は95・61%。各大学によると、北海学園大学や北星学園大学など安定して定員を確保している大学がある一方で、札幌近郊でも苦しい状況が続く大学は多い。

複数の大学の入試担当者らは「道内は看護系などは安定しているが、普通の大学はここ数年、半数が定員割れしている」と嘆く。

札幌大学は昨年、経済学や法学など5学部を「地域共創学群」に統合。定員も190人削減するなど改革を進めているが、今年も定員割れが続いた。そうした中、Xスポーツ部の認知度の高まりは明るい材料だ。

山田玲良(あきら)副学長は「Xスポーツを売りにはしていない。それよりも地域交流。子どもたちにスポーツを教えるなどの体験を通じて学生が付加価値をつけ、社会に出ていくというアピールはしている」。

部は小学生から高校生を対象にした会員制の教室を週に1度開き、部員が指導する。3年の安藤駿之介部長(21)は「どう教えたら伝わるかを考えさせられて、いい経験になる」。橋本さんは「地域の人が親子で来るようになり、話し方を含めて学生がしっかりしてきた」と言う。

今春は校舎にダンススタジオも開設。広さ150平方メートルの本格的なスタジオで子ども向けダンス教室も開き、プロや指導者、ストリートダンス部員、教員志望の学生が指導にあたる。

教室を改修することには学内の教授らから猛反発もあったが、「ダンスは中学校の体育の授業で必修化されているのに、踊れなくて困っている先生もいる。大学でダンスを学び、教える場を作った方がニーズがある」と山田副学長。「地方の大学が生き残るには、全国的に見てもユニークだという特性を身につけなければならない」と話す。
(朝日新聞)