平岡卓子どもに才能の片鱗が見えたら、伸ばしてやりたいのが親心。五輪メダリストの親から教育の秘訣を学ぼう。

天才が育った背景には、必ず親の力がある。平岡卓(18)は、雪の少ない奈良県で育ちながら、ソチ五輪スノーボード男子ハーフパイプ銅メダリストになった。
キーパーソンは父・賢治(55)だ。自身は高校からスキーを始めたが、全国大会ではいつも予選落ち。「自分の子に何か芽があれば早く始めさせたい」と思っていた。

次男の平岡を含む3人の息子たちを連れ、冬はスキー、夏は伊勢へサーフィンに出かけた。平岡6歳の冬、スノーボードに誘ってみたらすぐに滑れるようになった。大会に出れば優勝してくる。

「これは頑張れば面白くなると思った。でも、本人には言わなかった」(賢治)

中学生までが参加するユース大会で小学2年で優勝。この年から8年間、冬の週末スキー場通いを続けた。高速代節約のため片道200キロは一般道を使うと約5時間。賢治はハンドルを握り続けた。

小学生の頃は「2時間練習したら遊んでいい」と決めていた。「そうしないと上達しないとわかっていた。伸ばすというより、(才能を)つぶさないことを考えた」と言う。

なぜならば、息子より年上の選手が親から頭ごなしに叱られるのを見ていたからだ。そのほとんどは中学で伸びず、競技から去る子もいた。

海外遠征も多いスノボプロの世界では、高校に通わず通信教育を受ける選手も多いが、賢治は進学校へ行くよう息子に助言した。成績はもとから良かった。「刺激を受けて人見知りな性格を直してほしい」との思いもあった。

五輪後、インタビューできちんと受け答えする息子の姿は、演技中より誇らしく映った。(文中敬称略)

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