今回のフィギュアスケート・ペアでの審判の判定に対する疑惑騒動が、早期に解決された背景には、
国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長の意向が大きく反映されたとみられる。
ソルトレークシティー五輪招致に関し、IOC委員へ数々の接待が問題になったのは、記憶に新しい。
サマランチ前会長の後をうけたロゲ会長は、商業路線を進めて華美になりすぎた五輪の拡大路線の修正を図っていた。ロゲ会長自身も、大会期間中は、市内の高級ホテルに泊まるのではなく、選手村に滞在することで、
IOCは変わったというパフォーマンスを見せていた。

その矢先に起きた疑惑事件だけに、新会長の手腕がさっそく問われた事件。
ここで判断を誤ると、五輪の採点競技への疑惑が高まるばかりでなく、IOCへの批判にもなりかねず、
会長自ら、早期解決を図るよう指示。“陣頭指揮”をとった。

一方で、今回の判断には大国には弱いIOCという印象も持たせた。

北米はフィギュアスケートが盛んなため、全米のメディアは、この問題を連日報道。
ニューヨークタイムズ紙などは全審判のプロフィルと過去のジャッジの記録を掲載するなど、
各国の金メダル争いそっちのけで「疑惑報道」を優先させた。

そうした西側のプレッシャーに押された面も否定できない。
ロシア側は「ひどい決定だ。ロシアが小さなミスをすると大騒ぎし、アメリカやカナダのミスには転倒でも、
何もなかったように見過ごすのがアメリカのマスコミ」と怒りをあらわにした。

いずれにせよ、フィギュアにまつわる疑惑を払しょくするには今回、
資格停止となったフランス人審判がいったいどんな形で「不正」につながったのか、真相を解明する必要がある。

実は日本も今回の五輪で、不可思議な採点によりメダルを逃した“事件”があった。
男子スノーボード、ハーフパイプの中井孝治(17=青森山田高)の決勝での演技だ。
大技を成功させたにもかかわらず、低い点数に抑えられた。

地元米国のファンからも採点にブーイングが出て、佐々木峻監督が、審判長に非公式に抗議した。
しかも偶然だろうが、このとき問題になった審判はフランス人だった。
しかし判断は変わらず、中井は失意のまま帰国した。

ここでは世界のスポーツで、影響力を持たない日本の現状をまざまざと思い知らされた。 (2/16産経新聞社より)