地球温暖化によるとみられる氷河の後退が進むスイス・アルプスのスキー場でこのほど、夏の間に氷が解けるのを防ぐため、約4000平方メートルの巨大な布が広げられた。アルプスの氷河は、このまま後退が続けば、今世紀中にほぼ消失すると予測されている。


氷河に布かぶせ温暖化対策 スイスのスキー場

ゲムシュトック・スキー場では近年、夏になるとゲレンデへ上る通路の氷が解け、幅約20メートルの裂け目が生じるため、スキーシーズンを迎えるたびに修復を繰り返してきた。温暖化が進めば、修復費用はさらに膨れ上がることが予想される。そこで考案されたのが、白い布で夏の日差しを反射する「作戦」だ。

布はポリエステルなどで作られ、遠目には雪のように見える。製作費は約10万スイスフラン(約880万円)。関係者らは「氷河を守るための手段として、今後普及するはず」と胸を張る。

一方、この作戦について「局地的には有効な手段かもしれないが、根本的な対策にはならない」と批判する専門家もいる。アルプスの氷河は年間1%ずつ後退しているとされるが、たとえ小規模な氷河でも、全体を覆うには巨額の費用がかかり、環境への影響も懸念される。

ゲムシュトックでの試みを視察した世界自然保護基金(WWF)のスポークスマン、マーティン・ヒラー氏は「前向きだが一時しのぎの対策」と指摘。「問題解決への道は、二酸化炭素など原因物質の排出削減に尽きる」と強調した。