光國製のスノーボードで大活躍したスヴェン・ソーグレン選手ソチ五輪、スノーボード・男子スロープスタイル。19歳のスヴェン・ソーグレン選手(スウェーデン)はメダルこそ逃したものの、その華麗な滑走は、世界中その実力を示し、多くのメディアで紹介された。

このとき、使用されていたスノーボードを製造したのは、なんと雪の降らない台湾のメーカーだった。しかも、開発者7人全員がスノーボードを滑ることができないという。
台湾には世界で5分の1以上のシェアを誇るスノーボードメーカーがある。およそ10年もの間、研究と改良をかさね、世界のスノーボード受託生産最大手にまで登り詰めた“滑れない開発者たち”。彼らが開発した台湾製高性能スノーボードは、一体どのようにして生まれたのだろうか。

■インラインスケートからスノーボードへ切り替え

ドイツのNITRO(ナイトロ)やHEAD(ヘッド)、アメリカのROME(ローム)といった有名ブランドから生産を受託されているメーカー「光國」。当初はインラインスケートの製造をしていた。市場縮小に危機感を覚え、20年前からスノーボードの製造へ切り替えたという。総経理(日本の企業における社長に近い役職)の李光國さんは、スノーボード未経験。大学卒業したばかりの社員6人を率いて開発に挑んだ。

「光國」の総経理、李光國氏■否定的な反応だった台湾製のスノーボード

スノーボードに関する知識がほとんどなかった7人は、外国人技術者に連れられて、ヨーロッパで使用されている原料や設備業者を見学して回った。第1号のスノーボードが完成するまでにかかった期間は、およそ2年間。しかし、販売活動を始めたところ、取引先は「雪の降らない台湾で製造した」と、聞くやいなや、否定的な反応を示したのだ。

それでも7人は諦めなかった。その後も原料と設備の研究を続け、スノーボードの厚さ、強度、幅など、試行錯誤を重ねていく。開発開始からおよそ10年間。彼らの努力はついに実る。ヨーロッパのライバル2社から次々とシェアを奪い取い、世界のスノーボード受託生産最大手の座に登り詰めた。

■年間売上高は約17億円

世界におけるスノーボードの年間生産量は、約100万枚。そのうち、およそ22万枚が光國製だ。同社では、スノーボードの生産だけでも毎年、約17億円ほどの売上があるという。半年前には、NITROからオリンピックで使用するスノーボードの依頼が舞い込んだ。

五輪仕様のスノーボードは、スピード、ジャンプ力、耐衝撃性と、高い性能を求められるが、光國はその開発に成功した。雪の降らない台湾が生み出した高性能のスノーボードは、スウェーデン代表のソーグレン選手とともに、ソチ五輪で躍動し、見事に4位入賞を果たしている。

(THE PAGE)