女子スノーボードクロス1回戦で滑走する藤森(中央)=ソチ(古厩正樹撮影)(写真:産経新聞)大きなジャンプの着地でバランスを崩して倒れた。藤森の口から「終わっちゃった」と小さな声が漏れた。3度目の五輪。27歳は1回戦で敗れ去った。

4番手から、準決勝進出ラインの3番手をうかがう展開。バンクで前に出かかるが抜き切れず「焦りがあった」。ジャンプの手前で他の選手と板が接触し体勢がぶれ、転倒の引き金となった。本番前の練習で腰などを強打したが、心身への影響はほぼなかったという。
藤森は心に巣くう「恐怖」と向き合ってきた。前回バンクーバー五輪は公式練習で風にあおられ転倒。頭部を強打しスタートできず棄権した。以降「他の選手との駆け引きより、いかに自分に打ち勝つか」と言い聞かせても、風が強い日は負傷を恐れ、無意識のうちにジャンプに入るスピードが落ちた。

状況が好転したのは素直な気持ちを口に出し始めてからだ。「すごく怖い。どうしたらいいか」。メンタルトレーニングの中で告白した。「怖いと言ってしまったら、さらに怖くなってしまうのでは」と本心を封印してきたが、実際、ありのままの心の動きを受け止めると“トラウマ”がほぐれていくのが分かった。昨季の前半ようやく気付き、コースで恐怖を感じたら、意識的に体を動かすようになった。

今回は不本意な結果である。実力を出し切れたとは言い難い。それでも毅然(きぜん)とした表情だった。失意の退場劇から4年。「成長できた充実感」が手元に残っていたからだろう。
(産経新聞)