〔五輪・スノーボード〕スノーボード男子ハーフパイプで銀メダルを獲得し、フラワーセレモニーに臨む平野歩夢=11日、ロシア・ソチ15歳の平野が、快挙を達成した。初の大舞台にも気後れすることなく、高いエアを連発した。この日見せた4度の試技のうち、3度で90点以上をマークする安定ぶりだ。同一種目でメダリストになった3位・平岡と、笑顔を見せながら表彰台に立った。

160センチの小さな選手が、予選1本目は最初のジャンプで5メートル近く飛び上がり、観衆を驚かせた。中盤で着地の位置が落ちて減速しかけたが、うまく体重移動して再加速。最後は軸をずらしながら3回転する大技「ダブルコーク」を完璧に決めた。
予選1組で唯一90点を超えると、決勝も圧巻だった。1本目は途中で少しバランスを崩したが、最後は「ダブルコーク」で締めた。暫定3位で迎えた2本目はノーミスの完璧なエアを見せ、93・50点で2位に食い込んだ。

98年長野五輪で初実施されて以降、W杯で勝利を重ねた日本人が「メダル候補」として臨んだが、W杯は出ずに賞金大会を主戦場とする米国選手らに歯が立たなかった。だが、平野の才能は“本場”で輝いた。12年1月、北米で人気がある世界最高峰の賞金大会「Xゲーム」でショーン・ホワイト(米国)に次ぐ2位に入った。海外メディアからも注目が高かった。

どんなコースにも対応できる能力の高さが光る。小学4年でプロになり、国内外のコースで経験を積んだ。かつては雲の上の存在だった五輪2連覇中のホワイトに対しても「五輪の舞台で倒したい」と強気な姿勢を崩さなかった。1月の練習中に右足首をねん挫して、実戦は昨年12月中旬以来。「いきなりの五輪で不安はあったけど前の自分に戻ってきた」。高難度の技に狂いはなかった。

兄・英樹さん(18)を追い掛け、4歳からスノーボードに乗り始めた。学校から帰ると毎日、兄弟でスケートボードを練習した。冬場は父・英功さん(42)に連れられて、県外にあるハーフパイプの練習場まで通った。

「人一倍努力し、黙々と練習していた」と英功さん。腕を骨折したのに、知らずに滑り続けていたこともあった。病院に行かず、翌日には手を使わずに滑るこつを覚えていた。その後、しばらくして骨折が分かったという。11年の積み重ねが大舞台で花開き、光り輝くメダルを手にした。

◆平野歩夢(ひらの あゆむ)

▼生まれとサイズ 1998年11月29日、新潟県村上市生まれ。15歳。160センチ、50キロ。

▼競技歴 4歳の時、3つ年上の兄・英樹さんの影響でスノーボードを始めた。小学4年で用具メーカー「バートン」とスポンサー契約を結ぶ。

▼本場で活躍 昨年1月、北米で人気の総合競技大会「Xゲーム」のスーパーパイプに出場し、ショーン・ホワイトに次ぐ2位で最年少メダリストに。その後、実力者がそろった同3月のUSオープン・ハーフパイプで2位に入った。

▼趣味 カラオケ、漫画を読むこと。

▼好きな食べ物 「つぶ貝」。直前の壮行会では、すしが提供され、ネタにつぶ貝が加えられた。

◆冬季五輪の最年少メダリスト 平野は15歳74日でメダルを獲得。日本勢では、98年長野大会ショートトラック男子500メートルの西谷岳文の19歳35日を大幅に超える冬季最年少記録となった。なお、夏季を含めた日本の最年少メダルは92年バルセロナ大会競泳女子200メートル平泳ぎ金の岩崎恭子で14歳6日。男子では32年ロサンゼルス五輪競泳男子1500メートル自由形の北村久寿雄で14歳309日。

(スポーツ報知)


平野、高さと美しさ…世界屈指の空中技

兄の背中を追って、スノーボードに出合ったのはまだ4歳のころだった。それから10年あまり。15歳の平野歩夢は有力選手としてソチの空を高く跳んだ。

その名を世界に知らしめたのは、昨年1月に出場した世界最高峰の賞金大会「冬季Xゲーム」。五輪2連覇中の絶対王者ショーン・ホワイトに次ぐ2位に入り、史上最年少メダリストに。昨年8月に初めて出場したワールドカップ(W杯)では頂点に立ち、その地位を確立した。

五輪は「小さい頃から出たいと思っていた」という。幼さの残る顔で目を輝かせ「目標は金。ショーンを倒したい」とも。1998年長野五輪で正式種目となってから日本人メダリストはいない。

一度も勝ったことがないとはいえ、ホワイトにもその実力を認められている。「アユムはすごい才能を持っている。決勝では一騎打ちになるのではないか」と警戒感を強めていた。

ソチ入り後に行われた公式会見でも、海外メディアから平野に多くの質問がぶつけられたのは有力選手として扱われている証し。まだ15歳の中学生だが、ここ数年は米国中を転戦する日々とあって、対応は冷静そのものだ。「自分の最高の滑りをして、いい結果を持ち帰りたい」と言い切った。

落ち着きは内容にもあらわれていた。世界屈指とされる空中技の高さと美しさを、本番でも惜しげなく披露。別組だったホワイトに次ぐ成績を残し、難なく予選を突破した。
(産経新聞)