すでに先週、競技を終えたスノーボードの新種目・スロープスタイル。日本の角野友基が8位に入賞し、日本ではいい意味で注目されたが、コースに対する批判が噴出し、別の意味でも大きく注目された。

スロープスタイルは、コースに設置されたレールやキッカー(ジャンプ台)などで技を競う競技だが、練習の段階から、スピードが出過ぎる、キッカーが大きすぎとの声が選手から相次ぎ、ハーフパイプとの2種目制覇を狙ったホワイトは、「リスクが高すぎる」として欠場。メダル候補のトシュテン・ホルグモ(ノルウェー)は練習中にレールに激突して鎖骨を骨折すると、欠場を余儀なくされた。
バングーバー五輪の金メダルリスト(女子ハーフパイプ)で、今回のソチ五輪で3種目に出場するトーラ・ブライト(オーストラリア)などは、こう痛烈にコース設定を批判している。

「世界のトップ選手が集まっているのだから、コースも世界のトップレベルであるべきだ」

もともと懸念がなかったわけではない。五輪でスノーボード競技を管轄するのはFISだが、彼らは2011年まで、プロレベルのスロープスタイル大会を開催したことがなかったのだ。IOC(国際オリンピック委員会)が、スロープスタイルを新種目に加える検討を始めてから慌てて準備したのである。

当初、IOCはスノーボードの団体の大会を参考にしたらどうかと提案したが、FISはそれを拒否。積み上げたノウハウもないため、コース作りにおいて未熟な面があることは、当初から指摘されていたことだ。

そういえば、1998年の長野五輪で初めてスノーボード競技が実施されたときも、コース設定でトラブルが起きている。

スキーの大回転では、コースに水を撒いてアイスバーンを作るが、スノーボードの大回転では斜面に手を加えることはない。しかし、FISはスキーと同じ設定にしてしまい、慣れない選手が、次々とコースアウトしたのだ。

コース設定などは、スノーボードの団体に協力を求めればいいのに、五輪にスノーボードを競技として加えるとき、IOCとFISが、スノーボーダーの団体を締め出した経緯もあり、両者の溝は埋まらないまま。いや、むしろ、溝は深まっている。

加えて今回は、スロープスタイルのジャッジでも、不満が相次いだ。難易度の高いトリックを決めても、それが得点に繋がらない、というのだ。

FISが設定する採点基準と、スノーボーダーらが主催する、例えば、全米オープンや、Xゲームでの基準に違いがあったと見られるが、得点を見て唖然とした表情を浮かべる選手が、少なくなかった。優勝したセイジ・ コッツェンバーグ(米国)も予選で首を傾げた一人で、決勝に進む前、「ジャッジする人が、何を求めてるのか分からない。どんなトリックが評価されているのか、見直す必要があるかもしれない」と話したそうである。

そうした状況を受け、長野五輪に出場し、各種スノーボード大会の解説を務めるトッド・リチャーズさんは、「トリックに対する評価が正当ではない」と指摘。「きちんと話し合う必要がある」などとツィートしているが、それはスノーボードコミュニティの共通した見方でもあった。

FIS側は、「スキーヤーではなく、スノーボーダーが採点にあたっている」と弁解したが、「スキーヤーがやっているのでは?」という疑いが出る時点ですでに、大きな問題だろう。結局、コース設定にしても、採点にしても、今回も透けたのは、スキーの団体がスノーボードの競技を運営する矛盾である。そのことは指摘されて久しいのに、その問題が改めて浮き彫りとなった。

採点の問題に関しては、これから始まるハーフパイプでも起き得る。日本人選手では、平野歩夢、青野令らが、メダル候補と言われているが、予選で傾向を把握したあと、コッツェンバーグのように対応を迫られるのかもしれない。

(THE PAGE)