平壌から板門店に向かった時のバス。暖房が故障し、外部が凍り付いた=平成7年1月(写真:産経新聞北朝鮮が東部の江原道・元山につくった馬息嶺スキー場は、外貨獲得のために建設したことがわかった。

北朝鮮当局が住民の余暇活動増進のために建設するのだと宣伝してきたが、1月中に外国人客を迎え入れ、平壌市内などの観光も含めツアー客が訪朝する予定だという。スキー場にはホテルなどもあるというが、北朝鮮の冬は極めて寒い。

平成7年に訪朝した際には凍死しかねない事態に遭遇したことがある。一日中氷点下だけに、もしツアーに参加するならば…。注意が必要だ。
■30万円かかるスキーツアー

米国の海外向け放送「アメリカの声(VOA)」が報じたところによると、米国の北朝鮮専門の旅行会社「ウリツアーズ」が1月24日に、初のスキーツアー客が訪朝する予定だとした。

観光日程は1週間。外国人ツアー客は北朝鮮入り後、平壌や、南北軍事境界線上にある板門店を観光し、28日から2泊3日で馬息嶺スキー場を訪問するという。また、2月28日から3月8日までは同じ内容のスキーツアーが開催される予定だ。ツアー全体の費用は2900ドル(29万円)から3300ドルになるとしている。

スキー場にはホテルや医療施設はもちろん、スキーでけがをした観光客を平壌に移送するためのヘリコプター離着陸場まで設置されているという。

■バス天井に空く“穴”、効かない暖房…凍り付く車内

北朝鮮のインフラに関しては、平成7年1月に訪朝した際に、そのお粗末さには閉口した。

平壌から約180キロ離れた板門店にバスで見学に出かけたが、途中、高速道路と説明を受けた路面は霜で白く凍(い)てついていた。

しばらくバスに揺られていると、誰もが「ちょっとバスの中が寒い」と感じていた。普通ならいくら寒いとはいえ、そろそろ車内が暖かくなっていてもいいはずなのに車内が寒く、コートすら脱げない状態だった。

外気温は氷点下10度以下だったから、そんなものかと自分自身を納得させようとした。しかし、背もたれを倒してバスの天井を見て驚いた。換気口が開いていて、空が見えていた。乗務員に閉めてもらったものの、車内の寒さを訴えると、今度はバスの暖房の調子が悪いというのだ。

寒さに耐えながら、なんとか開城に到着したのだが、後続のバスに乗っていた人からこう言われた。

「大丈夫だった? バスがみるみる凍り付いていってたよ」

慌ててバスの後ろに回ってみると、真っ白に凍り付いていた。

北朝鮮当局はこれまで冬の時期には外国人観光客の入国を制限してきたが、最近は外国人観光客誘致に力を入れ、外貨獲得を目指しているとされる。海外からの観光客誘致の成功可否について、関係者は「北朝鮮の官僚主義やインフラなどを考慮すると、短期間に成功することはあり得ない」と指摘している。
(産経新聞)