ロシア南部の観光地ソチは冬季五輪の開幕を1カ月後に控え、厳戒態勢が敷かれている。7日からはソチナンバーの車両や緊急車両、特別認可を受けた情報機関の車両以外はソチに入ることができなくなった。

空や海からの進入も制限され、ソチに入る際は全員が厳しい検問や身元チェックの対象となる。

昨年12月には南部のボルゴグラードで列車やバスを狙った爆弾テロが相次ぎ、多くの死傷者を出したばかり。
犯行声明は出されていないが、チェチェン共和国の独立を目指す勢力の犯行との見方が強まっている。

そうした中で国際オリンピック委員会のバッハ会長は、ロシアが冬季五輪の安全を守ることを確信していると強調した。

IHSジェーンの安全保障の専門家でロシア事情に詳しいマシュー・クレメンツ氏によると、オリンピックパークや会場、ソチと山間部の競技場を結ぶ鉄道などのインフラは、極めて厳重な警備に守られているという。
一方で、ソチ周辺の鉄道の駅やホテル、公共の場などが狙いやすい標的として目を付けられる可能性もある。

特にソチに隣接する地域で、大会とは直接関係のない輸送インフラなどが狙われる危険は大きいと同氏はみる。

クレメンツ氏によると、ロシアは五輪警備のために約2万5000人の警察官を配備するほか、内務省などの機関からも治安要員8000人を警備に当たらせる計画だという。

これと比較して、2012年のロンドン五輪では警察官などの治安要員1万2000人が配備され、兵士1万8000人が待機した。「(ソチの方が)大会規模は小さいにもかかわらず、人員は2倍だ。ものすごく厳重な配備であることは間違いない」とクレメンツ氏は言う。

カーネギー・モスクワ・センターのドミトリー・トレーニン所長も「ソチは恐らくロシア国内で最も防御された地域」であり、武装勢力が侵入するのは難しいとの見方を示す。

その一方で、「ロシアは1990年代以降、テロの脅威にさらされ続けている」とも同氏は指摘した。

最も危険が大きい地域として、主都モスクワなどに比べてソチに近く、警備も手薄なボルゴグラードなど南部の都市を挙げ、「イスラム武装勢力に最も狙われやすいのはロシア南部だが、ボルガ川やロシア中部が攻撃される可能性もある」としている。

米国などでは治安上の不安からソチ五輪の観戦を中止した人もいる。

アイススケートとスノーボードの観戦を予定していた米ヒューストン在住の男性(24)は、爆弾テロの発生や「同性愛宣伝禁止法」の制定を受けてキャンセルを決めた。

旅券や大会チケットに費やした4000ドルは払い戻しができなかったが、「命を失うよりは金を失った方がまし」と話している。
(CNN.co.jp)