エゾナキウサギ北海道新得町の佐幌岳(1060メートル)で進むサホロリゾートスキー場の新コース造成で準絶滅危惧種のエゾナキウサギの生息地が破壊されるとして、十勝自然保護協会(共同代表=安藤御史(みふみ)さんら3人)などは近く、開発を許可した国や北海道の行政処分の無効確認などを求め札幌地裁に提訴することを決めた。

新コース造成は加森観光(本社・札幌市)が計画。約10億円をかけて北斜面約88ヘクタールにリフト2基や5コースなどを増設する。予定地の大半は国有林で、十勝自然保護協会などは現地調査でエゾナキウサギの生息を確認したとして反対しているが、同社は生息は確認されていないと反論。

林野庁が2012年5月に国有林の使用を認め、道も同6月に道自然環境等保全条例に基づき開発を許可。昨年10月に着工し、14年末の開業を目指している。
同協会などは、別の企業による北斜面での開発計画の環境影響評価で、知事が1992年、周辺のエゾナキウサギ生息地の保全などを求める付帯意見を出しており、生息の可能性を認めていると指摘。周辺のエゾナキウサギは、主要な生息地の大雪山系と日高山脈の中間に生息し、遺伝子交流を確保している極めて重要な個体群で、国や道の処分は生物多様性条約に違反し無効と主張している。

原告の一人で、自然保護団体「ナキウサギふぁんくらぶ」(札幌市)の市川利美代表は「食跡など具体的な証拠を示した私たちの調査結果に対し、なぜナキウサギがいないと主張できるのか、(加森観光に)根拠の説明を求めても話し合いに応じず工事を進めているため、提訴に踏み切る」と話している。【横田信行】

◇エゾナキウサギ

体長約15センチ、体重200グラム以下で、北海道中央部の限られた高山地帯の岩塊地に生息。丸く短い耳と甲高く鋭い鳴き声が特徴。冬眠はせず、植物の葉などを岩の間に運んで保存食とする。地続きだったユーラシア大陸から渡り、氷河期後に道内の山岳地帯に生き残ったとされ「生きた化石」といわれる。生息数は不明だが、大規模開発で生息環境が悪化、減少が懸念されている。2012年、環境省のレッドリストで準絶滅危惧種とされた。

(毎日新聞)