試作品第1号のスノーボードを手にする日野さん高山市内で現在、産官民が連携し飛騨のスギ間伐材を利用したオリジナルスノーボード開発に挑む「ヤマカシ」プロジェクトが行われている。

遊びを通じて自然への恩返しを図る飛騨高山のクリエーティブ集団「ヤマカシ」の提案をきっかけに、本年度「飛騨高山文化芸術祭こだま〜れ」を推進する高山市、地元木工メーカーの「飛騨産業」(漆垣内町)などが連携して挑む同プロジェクト。

「ヤマカシ」メンバーで同プロジェクトリーダーの日野肇彦さんは高山市在住の会社員。「山の恵みはもらうのではなく、借りて生活をしているという意識で日々を過ごしている。その恩をどうやって返していくのか。地元の山林環境を楽しみながら良くする方法の一つとして、間伐材のスノーボード製作に行き着いた」と話す。

「ほとんどのスノーボードはコア材に木を採用しているが、剛性の都合上メープル、ウォールナットなど広葉樹ばかり。日本の山林に多いスギなどの針葉樹はそのままでは柔らかすぎて使えない。そこで今回、地元メーカーの飛騨産業に製作協力を仰ぎ、国内随一といえるスギ間伐材の圧縮や曲げ木加工のノウハウや高い技術力を頼りに開発を進めている」と日野さん。

飛騨産業社員でプロジェクトメンバーの一人、池島哲平さんは「当社には、週末の時間外に作業員有志が集まって工場内の機械を自由に使える『ものづくりクラブ』制度がある。そこで長年、スギ圧縮材を使ったスキー板作りを一人で研究していた玉田義卓さんに白羽の矢を立てご協力をお願いした」と話す。

メンバーは普段、ネット上で情報をやりとりしながら週に1度集まり打ち合わせを重ねている。ヤマカシ側が滑走面の状況やパフォーマンスに合わせた形状、デザインなどユーザー観点から要望をリクエスト。それに最大限応える形で飛騨産業側が木材加工を行い今月、試作品第1号を完成させた。

日野さんは「一連の取り組みで針葉樹でもボードが作れる確信を得た。とは言え、現段階では取りあえずの形ができたところ。まだまだ圧縮率別の剛性や使用感の研究、樹脂製ソールや金属製エッジの取り付け、強度を上乗せするため特殊な樹脂塗料をかけるなど、やるべきことはたくさんある」と話す。

開発メンバーには、圧縮材スキー板開発の玉田さんをはじめ、今年定年で岐阜大学を退官し飛騨産業に入社した木材加工法研究の第一人者・棚橋光彦教授、次世代エポキシ樹脂開発で定評のある『ブレニー技研』(群馬県伊勢崎市)も名を連ねる。

プロジェクトメンバーたちは「提案当初は思ってもみなかった強力な助っ人が絶妙のタイミングで加わり、最高のチーム環境が整っている。販売の予定はないので、スノーボーダーそれぞれが自由な発想でこだわり、全て違う特性を持ったボードを何パターンか作りたい」と意欲を見せる。

コンセプトモデル1号は今年10月に完成する予定。
(飛騨経済新聞)