アラスカの山を滑走する中村陽子選手cTsutomu Endo札幌のプロスノーボーダー・中村陽子さん(32)が4月にアラスカで開催された「ワールド・フリーライド・チャンピオンシップ」で優勝し世界一に輝き、日本に凱旋(がいせん)した。

力強い迫力のある滑りで男女問わず数々のスノーボーダーから高い評価を得ている中村選手。もともとハーフパイプ競技のプロとして活躍していたが、大腿骨を折る大けがで休養を余儀なくされ、同競技から一線を退く。「けがをしてもスノーボードをやめる気はなく、自分の一番やりたいこと、方向性が分かった」と中村選手。

以後、映像に出演するメディア活動などを中心に活動し、昨年から自然の地形などを滑る「フリーライディング」競技へ活動の場を移した。競技参加のほか、北海道の山を登って滑る女性ライダーのフリーライディングムービー映像作品「Brighta(ブライタ)」への参加やレディススノーボードキャンプ「crescenDO CAMP(クレシェンドキャンプ)」企画など、女性ライダーの育成や情報発信にも力を入れる。
フリーライディングは、一般的なスキー場のコースを滑ることから整備されていない斜面を滑るものまでさまざま。中村選手は「バックカントリー」などと呼ばれる通常の人工的なコースとは違う自然の山中を滑るスタイルで、雪山のコブ(マッシュ)、切り立った崖(クリフ)、雪崩の危険などもある厳しい環境だが、自然ならではの雄大な景色や迫力を表現できる場、湿り気が少なく粉のように軽やかな雪(パウダースノー)を体感できるロケーションで、エナジードリンクメーカーやスノースポーツブランド各社なども盛んに映像作品を公開している。

同大会では、斜面のトップからボトムまでの滑走の中で、狭いシュート(岩や木の間の斜面)を抜ける、スラフ(表層雪崩)のコントロール、クリフ・ジャンプを取り入れるなど、一本の滑走ラインをライダー自身の技術と状況判断でスムーズかつスピーディーに、独自の滑走ラインを滑り降りることを競うもの。

中村選手は昨年フリーライディングの大会に初出場。世界大会「FLOW WORLD FREERIDE CHAMPIONSHPS」で2位となり、「1位になれなかったときの雪辱を果たす」という思いの下、今年の大会に臨んだ。大会は天候や雪のコンディションに左右されるため、1週間の大会期間を設けていたが、最終日、参加ライダーが大会期間中に収めた「ジャム・セッション」映像「フィルム・セッション」により審査を行った。結果、中村選手が世界一の座を勝ち取った。

「フリーライディングは玄人向けの競技でもあることからとっつきにくい部分もあるかもしれないが、多くの方に認めてもらえるきっかけになればうれしい」と中村選手。来年はアメリカ・ワシントンで行われるタイムクロスの世界大会「ベイカー・バンクド・スラム」への出場も決まっている。「世界大会にもたくさん出場してワールドツアーで世界中をめぐりたい」とし、「ツアーに向けスポンサー獲得にも力を入れたい」と意気込みを見せる。
(札幌経済新聞)