県南地区で最大規模を誇る夏油高原スキー場。様々な努力も、スキー客の減少に歯止めをかけられなかった(1月27日) 北上市の夏油高原スキー場を経営する加森観光(本社・札幌市)グループが、5月末で経営から撤退する意向を市側に伝えていたことが分かった。10日の市議会全員協議会で市が明らかにした。

市と同グループは2002年に20年間のスキー場施設の使用貸借契約を結んだが、数千万円単位の赤字経営が続いており、東日本大震災の影響が決定的となった。市は「強制的に事業継続を求めることは困難だ」として契約解除に同意する方針だ。

同スキー場は1993年にオープンし、当初は、市と東京の総合商社が作る第3セクターで運営していたが、経営難で商社が撤退。02年に加森観光グループが引き継ぐ形で再出発した。市は、リフトやレストハウスなどを無償で貸し付け、11年から国有林使用料を負担するなどして、経営を側面から支援してきた。
しかし、97年シーズンの26万7725人をピークに、入り込み客数は年々減少。東日本大震災があった11年シーズンは5万9325人まで落ち込んだ。

その後は持ち直しの動きもみられたが、震災前の水準(10年シーズン、8万3101人)には戻らず、同グループは、「震災を契機に外部環境は大きく変わり、赤字事業の継続は許されない状況になった」などとして、契約解除に同意を求めて、市に3月29日付で文書を送った。

市は、スキー場があることによる市内関連産業への経済波及効果は年間3億8000万円としており、スキー場を「貴重な観光資源」と位置付けている。

10日の協議会では、市側が〈1〉民営による事業継続〈2〉公営(指定管理者)による事業継続〈3〉スキー場以外の新たな事業展開〈4〉国有林を原状回復の上、返却――と四つの可能性を示した。

議員からは「事業継続ありきではないか」「数十億円という原状回復費用の積算根拠は」などと言った意見や質問が相次いだ。市は今後、事業継続や原状回復などのケースごとに必要な費用を算出し、4月25日に開く予定の市議会全員協議会で方向性を示す方針だ。
(読売新聞)