滑走禁止区域の危険性を訴える看板やネットが設置されたエリア=立山山麓スキー場県内スキー場で、コース外の滑走禁止区域に入るスキーヤーやスノーボーダーが目立っている。

自然の雪山を滑るバックカントリー(山スキー)人気が高まり、スキー場でも新雪の感触を味わいたいと考える人が後を絶たないためだ。

禁止区域は雪崩に巻き込まれたり、道に迷って遭難したりする危険性があり、各スキー場は看板を設置するなどして注意を呼び掛けているが、防ぎきれないのが実情だ。

「危険」「立入禁止」。立山山麓スキー場(富山市原・大山)のゲレンデと滑走禁止区域の境界には看板が立ち、赤いネットが張られている。

スキー場を運営する大山観光開発の石田貞雄営業部長・総務部次長は「ネットがあっても乗り越える人がいる」と困惑顔だ。

沢や崖に出てゲレンデに戻れなくなり、パトロール隊が捜索したり、救助に出向いたりするケースはシーズン中2、3件あるという。同スキー場らいちょうバレーエリアの小山重則パトロール隊長は「地形も把握しないまま安易にコースを外れるのは危険」と警鐘を鳴らす。

禁止区域に入ろうとする人を見つけた場合は注意しているが、限られた人員で広大なスキー場内を監視することには限界があるという。

タカンボースキー場(南砺市西赤尾町・上平)も同様の悩みを抱えている。村瀬晋一パトロール隊長は「禁止区域に入る人は、バックカントリーの人気が高まったここ2、3年で増えている」と話す。

コース以外で事故に遭っても誰も気付かない可能性があることから、コースから外れたエリアでシュプールを見つけた場合は、麓に出てきた形跡があるか確認しているという。

日本山岳ガイド協会理事で、バックカントリーのガイドもしている佐伯岩雄さん(魚津市)によると、バックカントリーはもともと、技術の高い人が春山シーズンを中心に楽しんでいた。10年ほど前、幅が太く新雪上を滑走しやすい板が登場したことにより、愛好者の裾野が拡大したという。

スキー人口減に悩む全国のスキー場では、来場者を増やそうと、圧雪しないゲレンデを売りにする所もある。一方、禁止区域での遭難が各地で発生。長野県野沢温泉村は2010年、スキー場が指定するコースやゲレンデ以外で遭難した場合、捜索費用の支払いを求める条例を定めた。

佐伯さんは「バックカントリーには自然の厳しさを味わえる魅力がある半面、危険を伴うだけに守るべきルールもある。それを理解しない一部の人がマナーに反した行動を取るのは残念だ」としている。
(北日本新聞)