ザ・ノース・フェイス パウダーガイド ベスト1万9950円。カラーはブラックのみ、サイズはS、M、L、XL(USAサイズ)アウトドアブランド、ザ・ノース・フェイスから9月、常識を覆すアイテムが発売された。「パウダーガイド ベスト」は価格が1万9950円。

ベストとしては決して安いものではないが、発売からまだ1カ月も経っていないのに、すでに売り切れ続出だという。ほかのアウトドアウエアとの違いはなんだろうか? 人気の秘密を探ってみた。

雪山の装備は「持つ」のではなく「着る」!

冬のスポーツを楽しむシーズンがやってくる。しかし、スキーにしろ、スノーボードにしろ、夏のスポーツに比べて装備が多く、荷物は増えがちだ。特に雪山ではいざというときのための装備も必要となるだろう。それらの荷物はバックパックに詰め込み背負っていくのが普通だが、中に入れたものを出し入れするには一度バックパックを下ろす必要があり面倒な面もある。そんなはがゆさを解消し、身軽に行動できるようにしたのがザ・ノース・フェイスの「パウダーガイド ベスト」なのだ。

雪山をフィールドとするスキーパトロールや雪上レスキュー、スキーガイドなどのプロが必要とする装備は、無線機や雪崩時のためのシャベルなど、かさばるものが多い。このベストは、それらをきれいに収納でき、取り出しやすいように設計。さらに、着心地もいいという。
前身ごろには、ゴーグルポケット、4つのファスナー付きのホライゾンポケット。側面メッシュ仕様。後ろ身ごろには、アバランチプローブポケット、ショベルポケット、ショベルハンドルポケット、両側ファスナーポケット。撥水仕様ボンバスチィックナイロン、肩部パッド、両側ファスナーポケット、スキー・スノーボードキャリーシステム、RECCO救急反射仕様「ゲレンデやサイドカントリーなどをフィールドとするスキーヤーやスノーボーダーは、遭難時などに備えてあらゆる装備を携えている。しかし装備を完璧にするほどバックパックは重くなり、動きも鈍くなりがち。しかも、いざという時にすばやく必要なものを取り出すのも容易ではない」と、ザ・ノース・フェイスプレスルームの宮崎浩氏は話す。そこで、「ならばそんな装備が入るバックパックを洋服にしてしまえばいい」という発想から生まれたのがこのベストだという。

バラエティーにとんだポケットと優れモノのストラップ

バックパックを持たないでも装備が収納できるカギは、あらゆるサイズや深さのポケットにある。「パウダーガイド ベスト」に備えられたポケットは前身頃、後ろ身頃合わせて12カ所。前身頃にあるのは、右胸の上部斜めに取り付けられた、トランシーバーなどの無線機を入れるポケットをはじめ、腹部には内側にメッシュポケットが付いているゴーグルを入れるための縦型のポケットが2つ。そのほかに4つのホライゾンポケットがあり、すべてファスナー付きだ。両肩にはストラップを通すループがあるのでトランシーバーを固定することができ、マグライトもつけられる。

後ろ身頃の中心には、シャベルを入れるための巨大なポケット、その上に、救急道具などをいれるのにちょうどいい深いマチ付きのものがある。この2つのポケットの両サイドには、ショベルハンドルや雪崩時の捜索に使用するアバランチプローブなど、長さのあるものを収納するのに適したポケットが施されている。

また、スノーボードやスキー板などを背面につけられるキャリーシステムも装備されている。調節可能なストラップがショベル用ポケットの下と左右にあり、スノーボードなら縦にも横にも取り付けることが可能。まさに、「パウダーガイド ベストは“着るバックパック”」とプロに称される理由がここにある。

高い堅牢性とクッション性。災害時にもこれひとつでOK

ゲレンデを起点としたバックカントリーやサイドカントリーを滑降することも想定して作られたベストの生地には、最高強度をもつ840デニールのナイロンを採用している。840デニールというのは、ザ・ノース・フェイスの雪山用バックパックのボトム用として使われるナイロンと同等の厚みがあり、堅牢性、撥水性に優れた素材。触ってみると、柔らかさはないが、ゴワゴワというほどでもない。薄手の柔らかなナイロンが裏地に使われていることもあり、肌触りは悪くない。「生地の堅牢性、耐久性は最高強度と考えてよい」と宮崎氏は言う。

長時間身につけることも考え、ポケットにあらゆるものを入れても重量が体に直接のしかからないように、肩と背面には、厚さ1cm強のクッションを入れた。それによってシャベルなどの道具からしっかりと体を保護してくれる。

「実際に滑走してみると、背中にクッションがあるので、ポケットにショベルなどを入れても背中に当たることはほとんどなく、クッション部分が想像以上に温かい」(宮崎氏)とのこと。

このベストの重量は1145g。ウェアで1kgを超えると言われると、重すぎるのでは?と思うが、雪山で実際に使われるバックパックは、ザ・ノース・フェイスの定番、バックカントリー用パック「パトロール24」で1280gあり、それよりも軽いわけだ。「実際に着てみると、体にほどよくフィットするため、そんなに重さは気にならない」と宮崎氏。

しかし、これだけポケットがあると、荷物の重さで体のバランスが崩れるのではないだろうか。

「バックパックだと、背面にだけ重量がかかり、滑走時のバランスをとるのが難しいことがある。このベストは、どんなジャケットにも心地良くフィットし、パウダースノーを滑降中の体重移動にも追従する設計になっているため、必要な装備をポケットに入れても前面と背面に重量が分散されてバランスが良くなり、滑走中の体重移動もスムーズだ。よってライディングバランスをキープできる」(宮崎氏)。

つまりバックパックを背負って滑降するよりも安全性は高まるようだ。

「パウダーガイド ベスト」は、9月中旬から順次、直営店やアウトドアショップならび専門店での販売が開始されている。その身軽さ、機能性の高さが口コミで広がり、アウトドアスポーツを趣味とするビジネスパーソンの間で話題になり、早くも完売している店舗が出てきているという。

気軽なトレッキングなどにも「パウダーガイド ベスト」があれば、食料や水、地図などの必要なものは十分に収納できる。背負うのではなく、着るというのは、背中に負担がなくなり、体にフィットしているので、動きもよりスムーズになりそうだ。さらに携帯用ライトやラジオなどを入れて、玄関先にコート類と一緒にかけておけば、災害時にはさっとはおるだけで身軽に避難することが可能になるだろう。

雪山を愛するコアな人たちが快適に滑るために作られたウエアだからこそ、機能性は確か。さまざまなシーンで活用できそうだ。

(nikkei TRENDYnet )