重伝建地区となっている白峰の中心部。冬季休業を決めた民宿もこの通りにある=今年5月、白山市白峰国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)である白山市白峰で、重伝建の特定物 件に指定されている民宿「山和荘(やまわそう)」が冬季休業することが、17日までに 分かった。

2009年の白峰温泉スキー場の閉鎖以降、冬場の客が激減したことが理由。 最盛期13軒あった白峰の民宿は現在6軒で、「開店休業」状態の宿もある。民宿関係者 からは「このままでは廃業しなければならない」との声も漏れる中、重伝建を追い風に、 地元住民による誘客へ向けた新たな取り組みも始まっている。

白峰は今年7月、中心部のほぼ全域10・7ヘクタールが重伝建地区に選ばれた。藩政 期の建造物を含む約300棟が密集し、黄土色の「大壁」や縦長の窓が連続する伝統的な 民家が残る。大正時代から旅館が栄えており、71年12月の白峰高原スキー場(当時) のオープンに合わせて、古民家を利用した民宿が相次いで開業した。
山和荘も約160年前の藩政期に建てられた古民家を改装し、74年にオープンした。 同スキー場は約20年前の最盛期には1シーズン約14万7千人が利用。そのころ山和荘 ではスキー客に加え、夏は登山客や部活の合宿でにぎわい、約70人が宿泊できる17部 屋は休日のたびに満員だった。

その後、スキー客は年々減少、07年には2万2139人にまで落ち込み、同スキー場 は09年、一般向けの営業をやめた。

スキー客の減少に伴い、山和荘でも宿泊客が激減した。今冬も予約がほとんどなく、施 設維持費がかさむことから、白峰の民宿では初めて12月から来年4月末まで冬季休業す ることを決めた。女将(おかみ)の山田硅子(けいこ)さん(78)は「体もついていか ない。来年以降どうなるか分からない」と話した。

ほかの民宿でも、毎年冬に来ていた団体客が今年は利用を取りやめた。この民宿関係者 は「民宿一本でやっていくのは厳しい。廃業した方が賢いかもしれない」と肩を落とす。

白峰観光協会によると、昨年から料理を出さず、素泊まりだけにした民宿もある。同協 会は「どこも客の減少と従業員の高齢化のため、経営は厳しい。いつ、やめる所が出てき てもおかしくない」と危機感を募らせる。

一方で、地元住民らでつくるNPO法人白峰まちづくり協議会は白峰独自の食でもてな す「白峰食」や、白峰弁を使った方言で観光客をもてなす事業を進めている。同協議会の 山下浩雅委員(51)は「重伝建の効果が出始めるのはこれから。民宿も含め住民一丸で 白峰の魅力を発信する方法を探していきたい」と話した。
(富山新聞)