自叙伝を手にするメロさん。将来はアパレル関係の仕事もしてみたいという2006年トリノ冬季五輪にスノーボード代表として出場した今井メロさん(24)が著書「泣いて、病んで、でも笑って」(双葉社、1260円)で半生を振り返っている。2児の母となり、指導者を目指して新たなスタートを切るために記したという初の自叙伝。壮行会での不思議なラップ歌披露、五輪惨敗、自殺未遂、2度の離婚、風俗嬢転身疑惑、整形など、いわゆる“アスリート本”とは一線を画す壮絶な内容だ。

「24歳で自叙伝は早いかな、と思ったんですけど…。過去の自分を乗り越えたいというメッセージのつもりです」とメロさん。だが、「早い」どころか、濃すぎる内容の著書となった。

期待を背負い、18歳で出場したトリノ五輪は惨敗。「家の前にパパラッチみたいな人がいたし、バッシングが怖くて、スノボがイヤになった。しばらく引きこもってました」。表舞台から姿を消した後、夜の世界に。キャバクラなど水商売で働き始めた。生活のためもあったが「ドレスを着たり、女の子らしい格好がしたかった」のも理由だったという。

この頃、風俗嬢に転身したといううわさが流れた。今回の著書では、ごく短期間ながら、デリヘルで働いたことも認めている。「みえを張りたくて、お金が必要だった。ウソはつけないし、自分が強くなって、すべて受け入れたいと思って書きました」。自殺未遂もあった。整形手術も受けた。レイプ被害にもあった。生活保護も受けていた。心の病気も患った。衝撃的な告白ばかりだ。
メロさんといえば、六本木ヒルズの五輪壮行イベントで「ガンガンズンズン〜♪」と、不思議な自作ラップ歌を披露したことでも話題になった。「実は自作じゃないし、周りの大人に『歌えばヴィトンのバッグをあげる』と言われたから」というのが真相だという。

結婚、離婚は2回ずつで、今は2児のシングルマザー。「子供がいるからケガはできない」と、競技に復帰するつもりはないが、指導者になるという目標を立てている。「何か一つでも究めたものがあれば、生きていくことはできる。それを子供たちに見せたいと思ったんです。リスタートしたい」。五輪だけが人生ではない。24歳の自叙伝には、そんなメッセージが込められている。

◆今井 メロ(いまい・めろ)1987年10月26日、大阪市生まれ。24歳。本名は読みが同じで「夢露」。5歳でモーグルを始め、6歳からスノーボードに。父から厳しい指導を受ける。体を伸ばし2回転する大技「メロウ720」を武器に、国際大会で好成績を上げ、トリノ五輪スノーボード・ハーフパイプ代表となる。初出場の五輪では、転倒して予選敗退。現在はサブカルチャー系タレントとして活動する兄の成田童夢も、同種目で五輪出場。

[新刊レビュー]
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