五輪選手のメダル紛失事件は過去の大会でもあったが、ロンドン五輪組織委員会(LOCOG)は、メダルには保険もかけられていないため、きちんとした場所で保管するよう選手たちに呼び掛けている。

ロンドン五輪で優勝選手やチームに授与される金メダルは、現在の金相場を基に計算すると金銭的価値は700ドル(約5万5000円)以上。貴金属としての価値もあるメダルだが、厳しい練習の末に勝ち取った勲章を選手たちは片時も手離したくないようだ。

柔道男子60キロ級で銅メダルを獲得したブラジルのフェリペ・キタダイ選手は、嬉しさのあまりシャワー室まで持って入ったメダルを落とし、一部を欠けさせてしまった。フェンシング男子エペ個人で優勝したベネズエラのルーベン・リマルド・ガスコン選手は、金メダルを首から下げている姿をロンドンの地下鉄で目撃されている。

競泳男子100メートル平泳ぎを世界新記録で制した南アフリカのキャメロン・ファンデルバーグ選手は、メダルから目を離せないと話しており、ボート女子かじなしペアで英国に今大会初の金メダルをもたらしたヘレン・グローバー選手は、金メダルを枕元に置いて寝ているという。

テニスの男子シングルスで金メダル、混合ダブルスで銀メダルを獲得した英国のアンディ・マリー選手は、飼い犬の首にもメダルをかけて記念撮影している。

LOCOGのスポークスマンによると、今大会ではまだメダルの紛失は報告されていない。しかし、過去にはメダルを失って話題になった選手は何人もいる。
2006年のトリノ五輪スノーボード男子で金メダルに輝いた米国のショーン・ホワイト選手に至っては、メダルを失いかけたのは1度ではない。メダルのリボン部分が汚れているのを気にした母親がクリーニング屋に出していたこともあるという。

2004年のアテネ五輪では、ボート競技の男子エイトで銀メダルを獲得したオランダのディエデリック・シモン選手が、レストランで食事中にメダルをなくしたことに気付き、警察に届け出たことがあった。

1988年のソウル五輪でも、ボート競技で金メダルを獲得したイタリア代表のダビデ・ティツァーノ選手が、勝利を祝って水に飛び込んでメダルを見失い、ダイバーが2日がかりで探し出すという騒ぎを起こしていた。

国際オリンピック委員会(IOC)のスポークスマンによると、紛失などによるメダル交換のリクエストは毎年1─2件あり、オリジナルと区別するために複製の刻印付きで新しいメダルを製造している。

別のIPC関係者は「メダルは大切に、オリンピック精神を持って扱ってほしい」と語っている。
(ロイター)