頭から斜面を滑り下りるエアボード(モンベル提供) 片品村のスキー場で、ソリ競技の一種「エアボード」で滑走していた埼玉県羽生市の女性(30)が立ち木に衝突死した事故は、国内初の死亡例とみられる。

初心者もすぐに乗りこなせるのが魅力で、徐々に愛好者が増え始めた中での事故だった。まだ指導的役割を担う競技者団体がなく、安全対策は大会やツアーを企画する会社や個人に委ねられている部分が大きいという。

エアボードは、空気で膨らませた長さ約1メートルのボードに腹ばいで乗り、左右にバランスを取りながら頭から斜面を滑り下りる。エアボードの輸入代理店「モンベル」(大阪市)などによると、約10年前にスイスで始まり、日本では5年ほど前から企画会社によるツアーや大会が開かれるようになり、愛好者は徐々に増えているという。
同社の広報担当者は「スキーやスノーボードに比べて技術が必要なく、コントロールも取りやすい。足でブレーキを掛ければすぐに止められる」と魅力を説明する。

しかし、亡くなった女性はエアボード経験者で、当日は、みなかみ町の企画会社が運営した「第5回全日本エアボード選手権大会」に出場するため、ゲレンデで斜面を滑走をしていたが、スピードが出すぎて止まりきれず、立ち木にぶつかったとみられる。

同じ大会に参加するため、東京都から訪れた女性は「スキーやスノーボードは上達しなかったが、エアボードは簡単だったので始めた。コントロールも簡単で、怖いと思ったことはなかった。まさか死亡事故が起こるなんて」と驚いていた。別の男性(33)によると、エアボードは「スキーやスノーボードに近いぐらいのスピードが出る」といい、「この日は雪が硬く、スピードが出やすかった」と振り返る。

北海道の企画会社も、ツアー参加者には「スピードは極力出さないように指導している」と話すなど安全策を講じているが、協会や連盟はないため、共通の規定はなく、業者独自の判断によるところが大きいのが現状だ。

エアボードの安全対策について、みなかみ町に本拠地を置く一般社団法人「アウトドア連合会」は、「ラフティング組合」や「キャニオニング組合」などを組織し、事故を防ぐルール作りをしており、今回の事故が起きる前から、新たにエアボードの組合も作り、一定のルールを設ける予定だったという。

石川満好事務局長は「規約や規定を定め、それに基づいて競技することで、安全性の向上が期待できる」と話している。
(読売新聞)