東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で落ち込んだ道内観光客。昨夏ごろから回復の兆しを見せ始めたが、冬を迎えて本格的に復調のレールに乗ったようだ。スキーリゾート地や温泉地では観光客が例年並みに戻りつつある。

◆春節効果
「震災前と同じというわけには行かないが、客足は戻ってきた」と話すのはスキーリゾートを抱えるニセコ町のニセコリゾート観光協会の担当者。

震災後は閑散としていたが、夏以降は少しずつ旅行者が増え、年末年始は満室となるホテルも続出。中国、台湾などの旧正月「春節」(1月23〜28日)期間中はアジアからの団体客も多数訪れた。旅行客自身が日本の様子を調べるなどして、原発事故への不安が薄まり、「北海道は安全」との認識が広がったらしい。

春節は観光業界だけでなく、小売業などにもプラスとなった。中国で人気が高まっている日本製化粧品類を販売するサッポロドラッグストアー(札幌市)によると、千歳市の店舗が中国人向けツアーに組み込まれるなど、「普段はそう(外国人客が)多くないが、春節中は大にぎわいだった」と表情は明るい。
◆雪まつり
交通各社のさっぽろ雪まつり(6〜12日)期間中の利用状況は、JR北海道が主要3線区(札幌−旭川、函館、釧路)で前年比15%減の17万6000人。新千歳発着便を運航する日本航空が同19%減の7万400人、全日空が同6・3%減の9万8700人で、数字上は震災前よりも低調だった。

しかし、昨年の春節は雪まつり期間と重なり、例年より海外客が多かったという事情もある。さらに今年は空知地方の大雪でJRの列車運休が576本(昨年は12本)に達しており、JRは「運休がなければ、ほぼ例年並みではないか」とみる。全日空も「昨年の利用者が非常に多かった。今年は新千歳−羽田便などは一昨年並みの水準」、日航も「震災の影響はほぼなくなったようだ」と話す。

また、雪まつり期間中は札幌市内のホテルも好調。中心部の札幌グランドホテルによると、客室稼働率は前年並みの9割超で、外国人の利用もほぼ前年並みに回復した。

◆宿泊客増える
国際観光旅館連盟北海道支部の道内63旅館への調査では、1月の宿泊者数は33万7469人で、震災後初めて前年同月比5・7%の増加となった。

地区別では登別・支笏湖温泉6万9036人(前年同月比1・8%増)が最多。阿寒・根室4万4374人(同14・7%増)、定山渓温泉4万3335人(同3・1%増)など9地区が増加した。一方、湯の川・松前が同14・3%減の1万7903人となるなど3地区が依然としてマイナスのままだ。

同支部の清野昭男事務局長は「震災直後から回復しているのは事実だが、まだまだ厳しい所も多い」と話す。

北洋銀行は今年の道内総生産を前年比0・6%減の17兆5269億円とマイナス成長を予測。しかし、観光分野については「おおむね震災前の水準に戻りそうだ」とみている。
(毎日新聞)