無理をしない滑りを心がけよう近年のスノーボード人口の増加とカービングスキーの普及で、スキー場で起こりやすいけがも変わってきた。外傷予防には十分な準備運動に加え、転倒時の衝撃をやわらげる防具を身に付けることも大事。“無理をしない”滑りを心がけよう。

■膝じん帯損傷が増加

最近のスキー外傷の傾向について、草津スキー診療所での勤務経験のある山田記念病院(東京・両国)整形外科の長谷川伸医師は、「近年、スキー板とその滑り方が“カービングスキー”に変わったことで、とくに膝の前十字じん帯損傷が増加している」と話す。

膝関節内にある前十字じん帯は、つま先が外側を向き、膝が内側に入る「ニーイン、トーアウト」の状態が過度に起きると断裂を招く。

カービングスキーはアルペン競技用の板で、エッジを立てて高速でターンできる滑り方をする。が、荒れた雪面では板の先が引っかかり「ニーイン、トーアウト」の状態になりやすいという。
■墜落して大けがも

一方、両脚が固定されるスノーボードは転倒時、まず手をつくことが多いので、当然、手や腕の骨折、肩や肘の脱臼など上肢の外傷が多くなる。

滑走中にジャンプや空中技を試みて墜落すれば、頭部の強打による急性硬膜下血腫、脊髄損傷などの大けがにつながる危険性もあるという。

もしゲレンデでけがをしたら…。

「痛みや四肢の変形があって動けない場合は即座にゲレンデパトロールに連絡する。動ける場合でも必ずレストハウスに戻り、休みながら様子をみて、強い痛みや腫れてきたら滑るのは中止。雪を詰めたビニール袋でアイシングしながら近くの診療所を受診すること」(長谷川医師)

パトロール隊の連絡先は事前に携帯電話に登録しておくことが重要だ。

■シニアは転倒に注意

骨が弱くなっているシニアスキーヤーは、ゲレンデ以外でも滑って転び、骨折するケースに要注意。加えて、「頭部の打撲で“逆行性健忘”の状態になる人が意外といます」とこう話す。

「一時的に自分がなぜここにいるのか分からなくなる。宿泊先も連れの仲間の名前も忘れてしまい、身元捜索をしなくてはいけないことがある」

もしものために、緊急連絡先や宿泊先を書いたものをポケットに入れておくことも大切だ。

外傷予防の十分な準備運動はいうまでもないが、長谷川医師は「いまは高性能でファッショナブルなプロテクターやヘルメットがあるので、できる限り装着する。カービングスキーをする場合は、不整地では従来のスキッディングターン(横滑り)にするなど、安全なスキーを心がけてもらいたい」とアドバイスする。

■起こしやすいゲレンデ外傷

【スキー】

★膝下の骨折や膝のじん帯損傷などの「下肢(脚)の外傷」が多い。とくに膝の“前十字じん帯”を損傷しやすい。

【スノーボード】

★手首の骨折や肩の脱臼などの「上肢の外傷」が多い(手関節骨折、前腕骨折、肩関節脱臼、肘関節脱臼など)。頭を強打すると、重篤で生命にかかわる「急性硬膜下血腫」を発症する恐れがある。

(zakzak)