福島を除く東北5県の主なスキー場で今冬の集客が、東日本大震災前の水準となっている。

震災により減少が懸念されたが、多くのスキー場で1月末までの入場者数が前年並みとなり、関係者は安堵(あんど)している。福島第1原発事故の影響で、海外や西日本からの客は減ったものの、豊富な積雪に加え、高速道の無料化が地元や隣県からの誘客を促している。

山形市の蔵王温泉スキー場は5日、快晴に恵まれ、大勢の家族連れらが積雪量200センチを超すゲレンデで、スキーやスノーボードを楽しんだ。

日帰りで訪れた山形県山辺町のパート本田真里子さん(42)は「蔵王はコースが長くて豊富。子どもも安心して遊べる」と話す。多賀城市の自営業高橋利昭さん(56)は「自宅や会社も被災し、街並みは歯抜け状態。近くて温泉もある蔵王でリフレッシュしたかった」と話した。

同スキー場が営業開始した昨年12月10日〜ことし1月末のリフト輸送実績は、延べ141万4000人。前年同期比で94.8%の水準だ。蔵王温泉観光協会の黒崎広宣事務局長は「震災後は観光客が減り心配したが、まずまずの結果でホッとしている」と言う。
同スキー場は例年、県外からの客が7割を占める。今季は西日本や海外からの団体客が激減。逆に県内や宮城、福島など近県からの入り込みが増えているという。黒崎事務局長は「震災後は遠くに行くことへの後ろめたさがある。近場で別世界に行ける蔵王に来て気分転換になっているのではないか」と分析する。

年間約50万人が訪れる安比高原スキー場(八幡平市)は1月末現在、一体経営する宿泊施設での外国人客が前年同期比43%と減ったが、入場者数は同102.2%の約20万4000人。高速道無料化の影響で、スキー場側は、岩手、宮城両県からの入り込みが増えたとみる。

みやぎ蔵王えぼし(宮城県蔵王町)は約5万5000人で前年同期比約110%、たざわ湖(仙北市)は約4万5600人で106.4%−など、他県の主要スキー場も同様の傾向が見られる。

ナクア白神スキーリゾート(青森県鯵ケ沢町)は99.7%の約4万9000人と前年並み。青森県観光企画課は「十分な雪があれば、地元の客が集まる」としている。

<福島は若者や子連れ狙い巻き返し>

福島県内の主要スキー場は、福島第1原発事故の影響で軒並み集客が前年を下回り、中には前年同期の半分程度にとどまっているところもある。若者のリフト券を無料にしたり、子どもに遊び場を提供したりと、各スキー場はあの手この手で誘客を図る。

原発から約60キロ離れたあだたら高原スキー場(二本松市)は、客層の半分を占めていた県外客が激減。1月末までの入場者数は約1万5000人と前年同期比37.2%にとどまっている。

他のスキー場はアルツ磐梯(磐梯町)の入場者数が1月15日までで同62.0%の約3万8000人。会津高原だいくら(南会津町)は1月末現在で同93.8%の約3万3000人など。

東北索道協会福島地区部会は、若者の来場を図ろうと、3月末まで県内16のスキー場で20〜22歳のリフト1日券を無料にするキャンペーンを実施。県教委も幼稚園児と小中学生を対象に、スキー場で行う体験活動の宿泊費などを補助している。

各スキー場も独自の取り組みを進める。アルツ磐梯では、そり遊びなどができる子ども向けのスペースを拡大。週末は県内小学校のPTAなどが主催する雪上運動会が開催され、にぎわいが戻りつつあるという。担当者は「例年は首都圏のツアー客に目を向けていたが、今季は子ども連れら県内の集客が重要になっている」と話している。
(河北新報)