オープン初日、スキー場には多くの客が訪れた=猪苗代町、相場郁朗撮影●団体予約のキャンセル相次ぐ

県内のスキー場が、厳しいシーズン入りを迎えた。東京電力福島第一原発の事故に伴う風評被害で、予約はキャンセルが相次ぐ。各スキー場は客足を取り戻そうと、子ども向け屋内遊技場の設置や割引など工夫をこらす。

県内のほぼトップを切り、猪苗代町の「箕輪スキー場」が26日に営業を開始。リフト運行開始前から約100人が列を作った。施設の責任者は「福島は元気で安全ということを知ってほしい」と話す。

県によると、県内には25カ所のスキー場があり、昨年度は約145万人が訪れた。主要なスキー場エリアは原発から60〜100キロ程度離れており、放射線量は高くない。

しかし、風評被害は深刻だ。二本松市の「あだたら高原スキー場」は空間放射線量が毎時0・1マイクロシーベルト台。年間約10万人を集め、うち約2万人は首都圏や九州地方からの修学旅行生が占めていたが、震災後、予約はすべてキャンセルになった。例年は12月初めのオープンだが、今年は10日から週末のみ営業し、本格オープンは12月23日から。
「人工降雪機を一晩使うと20万〜30万円の出費。集客が見込めず、余裕はない」と担当者は言う。磐梯町にある東北最大級の「アルツ磐梯」もいつもより遅い12月28日に営業開始し、例年より半月ほど早い来年3月18日に終了する予定だ。

磐梯町の八つのホテルでつくる「磐梯高原学生誘致連合会」の場合、合宿や修学旅行の団体予約が約1万7千人入っていたが、残ったのはわずか5%だ。

伸びない客足は地元の雇用にも影響を及ぼす。猪苗代町の猪苗代スキー場に隣接するホテルは、社員と常勤のパート合わせて70人のうち60人の雇用をやめた。「こんな緊急事態は初めて」と社長は言う。

福島のスキー場で遊ぶことは健康に影響があるのか。神戸大学の小田啓二教授(放射線安全学)は「原発からの放射性物質の放出は収まっており、降雪に混じることはない。事故当時に放射性物質が付着した葉は、落ちて雪に覆われるため、風でゲレンデに舞うこともないだろう」と話す。

風評被害をはねのけようと、各スキー場は懸命だ。子ども連れの客が訪れやすいよう屋内遊技場や雪遊び場を設置したり、家族向けプランを用意したり。猪苗代観光協会は一帯のスキー場や飲食店で使える割引商品券を昨年より2千組多い5千組発行し、東京都中央区の「福島県八重洲観光交流館」などで販売している。

南会津町の4カ所のスキー場では、来年1月から3月まで、JR郡山駅や新白河駅からの往復バスとリフト券を合わせて1500円と破格値で発売する。

「今は収入が減っても、とにかく足を運んでほしいという気持ち。訪れた一人一人が観光大使になって、スキーの魅力、福島の魅力を伝えてほしい」。県内のスキー場や観光協会などでつくる「スキーリゾートふくしま創造会議」の五十嵐浩美さん(43)は訴える。
(asahi.com)