妊婦を連想させるような、たおやかな曲線が印象的な作品「Mother(母)」の前で語る遠藤さんスノーボードで雪山を訪れ、山岳風景や滑走の写真などを撮り続けている大町市平木崎の写真家、遠藤励(つとむ)さん(33)が11日まで、市内で初めての個展「ゆきいろ」を仁科町のギャラリーいーずらで開いている。作品は雪山の雄々しさだけでなく、足元の雪の柔らかさ、心地よさを表現。国内外のスノーリゾートを渡り歩いた経験から「美しい山岳環境に恵まれた大町の誇りを伝えたい」としている。

遠藤さんは中学3年でスノボに出会い、一時はプロを目指すほどのめり込んだ。その後、写真を通してスノボに関わり続けようと考え、松本市の写真制作会社などで腕を磨きながらスノボの専門誌で作品を発表してきた。

「地元だからしっかりした作品を見せたい」と臨んだ今回の個展。巨大な雪壁や急斜面を雪煙を巻き上げてスノーボーダーが滑走したり、ジャンプしたりする躍動的なカットも見応えがあるが、印象的なのは、妊婦の寝姿にも似た曲線や、淡いピンクや紫の陰影など雪の「表情」だ。

ほとんどが後立山連峰や大町近郊の里山などでの日帰り撮影といい、「こんなに豊かで美しい光景がすぐそこにあるのが大町なんです」。ニュージーランドや北米、欧州のアルプスの山岳リゾートを滑った経験があるが、雪質、景観などの面で「大町は世界的にも恵まれている」と言う。

一方、海外では大町よりずっと小さな村でもカフェやギャラリーがあり、長期滞在できる環境が整う。ふるさとに寄せる住民の誇りも肌で感じた。さらに「真冬の雨が当たり前になり、雪崩の危険を感じることが増えた」といい、地球温暖化の進行も気に掛ける。

スノーボーダーならではのそんな実感を伝えようと、今回は「誰もが本能的にリラックスできる雪の曲線美」の撮影に力を入れた。「一人でも多くの人が雪とふるさとに関心を持ってほしい」と話している。約30点を展示。入場無料。
(信濃毎日新聞)