蔵王の樹氷。30〜40年後には姿を消してしまうかもしれない=山形市の蔵王温泉スキー場で2011年2月2日、丸山博撮影このままでは「アイスモンスター」が消えてしまう−−。

山形・蔵王の樹氷が温暖化の影響で30〜40年後には姿を消すという研究結果を、山形大理学部地球環境学科の柳澤文孝教授(地球化学)がまとめた。

樹氷の下限が過去約80年で約200メートル上昇しており、このペースが続けば、木がある標高の場所では樹氷ができなくなるという。

柳澤教授らの研究グループは、山形市蔵王温泉の地蔵山頂駅(1661メートル)前で樹氷の観測や気温測定を続ける傍ら、樹氷が発見された1914年から今までの研究資料や文献・写真、山形地方気象台などの観測データを分析した。
その結果、樹氷の下限(標高)が▽約80年前は1400〜1450メートル▽約40年前は1500メートル▽近年は1550〜1600メートル付近−−と徐々に上昇。山形市の1月の平均気温も▽1926〜30年は氷点下2.16度▽66〜70年は同1.48度▽2007〜11年は0.22度−−と過去80年で2.38度上昇していた。

柳澤教授はこれらのデータから、30〜40年で気温が約1度上昇したのに伴い、樹氷の下限が約100メートル上昇したと解析。このペースが続けば「30〜40年後の下限は理論上、標高約1700メートル」と判断した。

しかし地蔵山(標高1736メートル)をはじめ蔵王の1700メートル以上の山腹には木がないので「樹氷はすべてなくなる可能性がある」と結論付けた。

樹氷は過冷却された空気中の水蒸気が常緑針葉樹にぶつかって凍りついたもの。各地が豪雪に見舞われている今冬は、山形市も5年ぶりの豪雪で、1月の平均気温も氷点下1.6度。標高1500メートル付近の低い地点でも樹氷が見られる。

柳澤教授は「気温は上下を繰り返しながら次第に上昇している。この5年の平均気温をみれば以前より上がっている」としている。
(毎日新聞)