白馬乗鞍岳(右奥)へ山スキーヤーらがよく入山する場所。ゴンドラリフト終点(左下奥)から歩いて登っていく今年に入って北安曇郡小谷村の栂池高原で、山スキー愛好者らの遭難が相次いでいる。

リフトで入山できる山スキーの適地として雑誌で紹介されているが、冬の山中は迷いやすく、危険も多い。自分で事前にルートを定め、位置を確認しながら安全に滑り降りる高い技術も必要だ。

3月には標高約1900メートルの栂池自然園近くまで延びるロープウエーの運行が始まり、入山者が増える。大町署は単独行を避けるなど慎重な行動を呼び掛けている。

同署によると、1月8日、愛知県の男性(53)はゴンドラリフト終点から日帰りの予定で入山。標高2100メートルの天狗原付近から滑降中、沢筋に迷い込んだ。他人がスキー板を履きながら登った痕跡を頼りにルートを決めたという。簡易テントで一晩過ごし、9日に救助された。

29日にもゴンドラで入山した同県の男性(38)が天狗原からスキー場へ滑るうちに迷った。雪洞を掘って簡易テントをかぶり3日間、風雪をしのいで一命を取り留めた。大きな縮尺の地図しか持たず、要所要所で位置の確認もしなかったという。

このほか、1月8日は山中をスノーボードで降りていた県内の男性(57)も立ち木に衝突し、ヘリで救助された。

栂池高原一帯の山岳地域はゲレンデから近い上、コースも多彩で、スキー雑誌が魅力を紹介。一方、県警地域課によると、今年発生した山スキーでの遭難はいずれも同高原一帯で発生している。

「平たんな地形もあるが、悪天候だと方角を見失いやすい」と山岳ガイドの山岸慎英さん(34)=北安曇郡白馬村。地図や方位磁石、高度計、衛星利用測位システム(GPS)を携行した上で「きちんと使いこなして常に地形の変化を意識する慎重な行動が必要だ」と白馬山案内人組合の松沢幸靖さん(43)=同=も話す。「本来なら経験豊かな人と入山すべきだ」と山岸さん。

地元の山岳遭難防止対策協会が出動すれば、隊員1人当たりの日当や保険料などが請求される。4人が2日間捜索すると、最低でも40万円ほどかかる計算。技量不足の単独行で迷うと、高くつくことにもなる。

「山スキーには冬山登山並みの装備や技能が求められる」と地元関係者。大町署も、単独入山に注意を促すポスターを作り、管内スキー場のリフト乗り場などに掲示することにしている。
(信濃毎日新聞)