映画「銀嶺の王者」で鰐淵晴子さんと共演したザイラー氏=1960年2月、山形市の蔵王温泉スキー場冬季五輪初のアルペンスキー3冠王となったオーストリアの名選手、故トニー・ザイラー氏(1935〜2009年)の顕彰碑が今秋、山形市の蔵王温泉スキー場に建立される。

俳優としても活躍したザイラー氏は蔵王スキー場で撮影された映画に出演し、知名度向上に一役買った。関係者は「ゲレンデににぎわいを取り戻したい」と期待を寄せている。

顕彰碑はスキー場東部のパラダイスゲレンデの片貝沼近くに建てられる。台座を含め高さ約5メートル、幅約2メートルのアーチ形で御影石製。

肖像と功績を日本語や英語、ドイツ語で記し、出身地キッツビューエル市の紋章と山形市章を刻む。

山形市観光協会などでつくる実行委員会(武田吉則会長)が企画。雪解け後に工事を始め、スキーシーズン直前、10月の完成を目指す。総工費は約990万円。

周囲を圧倒する滑りから「黒い稲妻」と呼ばれたザイラー氏は1956年のイタリア・コルティナダンペッツォ冬季五輪で、滑降、大回転、回転の3種目で金メダルを獲得した。

60年1月、映画「銀嶺(ぎんれい)の王者」の撮影で来日し、蔵王温泉に約1カ月滞在。山頂のザンゲ坂や地蔵岳でロケが行われた。
ロケを契機にキッツビューエル市と山形市は63年、姉妹都市を締結。74年には来日したザイラー氏に、山形市が特別名誉市民章を贈った。

晩年は闘病生活を続け、一昨年8月に73歳で死去した。山形の観光関係者から、蔵王の名を高めた功労者として顕彰しようと声が上がった。

ことしはスキーの日本伝来100年を迎えることも手伝い、機運が盛り上がった。

実行委の初会合が先月、市内であり事業計画や予算案が承認された。実行委の岡崎宏一副会長(蔵王温泉観光協会会長)は「蔵王のスキーの歴史を語る上でザイラー氏の功績は欠かせない。顕彰碑建立を通じてスキーの素晴らしさを訴えたい」と話している。
(河北新報)