雪崩のあった現場(中央上)。下は室堂ターミナル=30日午前11時52分、立山町、本社機から、安冨良弘撮影室堂付近、6人グループ襲う

05年にも死亡事故

富山県立山町の北アルプス・室堂付近で起きた雪崩事故は、自然の山の新雪を楽しもうとしていたスキーヤーらを一瞬にしてのみ込んだ。現場付近の山では、2005年11月にも「秋の雪崩」による死亡事故が起きており、専門家も「この季節でも表層雪崩は起きる」と、山スキーの愛好家らに警鐘を鳴らしている。

県警上市署によると、死亡した東京都世田谷区、会社員武田悠さん(32)ら6人は、29日に長野県大町市側から入山し、室堂近くで野営した。30日午前8時ごろに野営地を出発し、4人がスノーボードを担ぎ、2人は山スキーをはいて国見岳の斜面を登った。

8時55分ごろ、6人で標高2400メートル付近をジグザグに横断しながら歩いていたところ、突如、雪崩に巻き込まれた。雪崩は隣接する2カ所で発生し、いずれも長さは100メートル、幅は50メートルと80メートルあったという。
一番後を歩き、けがのなかった神奈川県逗子市、会社員片平真実(まこと)さん(38)は「突然、ドスンという音がして、上部から雪が落ちてきた。全員が気付いて下に逃げようとしたが、巻き込まれた。雪の状態は割と締まっていると感じた。初めてのコースだったが、経験者はいた」と語った。

雪崩発生後、別のメンバーが携帯電話で「3、4人が埋まった」と立山消防本部に通報した。

雪崩は、登山者や観光客の拠点となる室堂のバスターミナルからも目撃されていた。すぐに立山黒部貫光の社員らが救助に当たった。

突然「ドスン」秋の雪崩山スキーをするため知人と訪れ、救助を手伝った東京都青梅市、団体職員島崎成利さん(53)は「午前10時ごろ、雪崩のあった斜面の下で救助作業をしている人を見つけ、仲間と2人で駆けつけた」「1人は雪面から2メートル、1人は50センチくらい下に埋まり、意識がなかった。ヘリが来るまで人工呼吸などをした」と話した。

亡くなった武田さんは、駆けつけた県警山岳警備隊員が、遭難時に電波で居場所を知らせる機器ビーコンで捜し出し、発生から約1時間後に引き出されたという。

立山黒部貫光などによると、ここ数日は荒天が多かったが、30日は晴天。新雪が降ったばかりで、スキーには絶好の日だが、雪質は固まっていなかったともみられている。雪崩が起きた午前9時ごろの室堂の視界は30キロ、気温はマイナス8・5度、積雪は180センチで風速0メートルだったという。室堂のスキー客らは11月に最も多く、立山黒部アルペンルートはこの日がシーズンオフの日だった。

6人のうち、片平さんを除く5人はアウトドア用品店「HPLUS」を経営する有限会社「フルマークス」(横浜市)の社員。同僚らによると、年齢が近い5人は仲が良く、スキーやスノーボードに連れだって出かけていた。登山歴も10年近くある人が大半だったという。「熟練していて、知識もあったはずなのに」と声を詰まらせた。

室堂の南東側にある浄土山では、05年11月23日に山スキーをしていた横浜市内の男性会社員が山頂から約130メートル下の斜面で雪崩に巻き込まれ死亡している。今回は6人ともビーコンを身につけており、山岳警備隊の横山隆小隊長は「現場は過去にも雪崩が発生している場所で、ある程度、危険性を知っていたのではないか」と話した。
(asahi.com)


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