◇リーマン・ショック後、ターゲットは豪→中国 地域活性化に期待

国内トップのスキーリゾート地のニセコ地区で、海外資本による大規模な高級リゾート開発計画が進行中だ。その多くは香港やマレーシアなどアジア資本。経済成長とともに膨らむ中国人富裕層のリゾート需要拡大を見込んでいるのが背景だ。

リーマン・ショックの影響で一時、ニセコ観光のけん引役だったオーストラリア人観光客が影を潜めており、地元では期待が高まっている。
■世界ブランド
ニセコアンヌプリ国際スキー場に程近い道道沿い。今はフェンスで囲まれ、ひっそりとしている広大な土地が高級リゾートホテル「カペラニセコ」の建設予定地だ。約12・8ヘクタールの敷地に全室スイートルーム80室のホテルとコンドミニアムなど約150戸が建設される計画。

設計は世界的にも有名な建築家の安藤忠雄氏。今年9月に一部の工事が始まり、現在は降雪期に入ったことなどから工事はいったん休止しているものの、来春には本格的に再開。2012年開業を目指している。

「カペラ」は、オーストリアやシンガポールなどにも展開する米ザ・ウエスト・ペーセス・ホテルグループが運営する世界的な高級リゾート・ブランド。開発しているのは香港資本の不動産開発投資会社「アンヌプリランド」。関係者は「カナダのウィスラーに対抗できる世界的なスキー・リゾート地に」と意気込む。

■買収進出も
既存ホテルの買収や、再開発計画の転売による新改装もある。

西武グループの旧ニセコ東山プリンスホテルは今年3月、マレーシア最大のコングロマリット(複合企業)のYTLが、一時経営を引き継いだ米シティグループから買収。12月に旧本館を改装したホテル「ザ・グリーンリーフ・ニセコビレッジ」をオープンする。

YTLグループはタイなどアジアを中心に約10カ所の高級リゾートを運営するが、日本でのリゾート開発は初めて。シティグループが策定した約1000戸のコンドミニアムを建設する大規模計画を引き継ぎ、夏冬通じて楽しめる高級リゾートとして世界にPRしたい考えだ。

また、隣接する倶知安町花園地区では、07年に開発計画を立ち上げたオーストラリア資本の「日本ハーモニー・リゾート」を、香港通信大手PCCWグループの開発会社PCPDが買収した。

約70ヘクタールの敷地にコンドミニアム36棟、ホテル2棟などを約15年かけて整備する計画で、12年春の着工予定。すべて完成すれば約1万4000人が宿泊できる一大リゾートができ上がる。

■主役交代
ニセコ周辺での外国人観光客は数年前まではオーストラリア人が主流だった。上質なパウダースノーに魅了されたスキーヤーたちが集まり、倶知安町を中心に外国人によるペンション購入などの動きが広がった。

しかし、08年のリーマン・ショックから始まった世界的な経済危機と円高傾向の強まりで情勢は一変。同町の外国人登録者数で、09年1月末に279人いたオーストラリア人は今年10月末には129人と半分以下に減少した。

一方、円高にもかかわらず、香港などアジア資本は中国の経済成長に伴う富裕層の増加や海外旅行の緩和などの流れをにらみ、不動産バブルで生じた余剰資金を、割安なニセコ地区での大規模な開発に回しているとみられている。

ニセコ町によると、町内で1ヘクタール以上の土地を買収した海外資本は、08年に5件あり、うち4件は香港、残る1件はシンガポール。09年は2件で、香港とオーストラリアが1件ずつ。1ヘクタール未満の土地買収は町への届け出義務がないため、実態を示すデータはない。

町企画課は「スキー場山頂のアンヌプリ山は国定公園で開発に厳しい規制があったことが、世界に注目される自然環境を残す結果になった。土地売買を誘発する気はないが、ある程度の企業には入ってもらい、地域を活性化していきたい」と期待している。
(毎日新聞)