北秋田市・森吉山阿仁スキー場 財政負担重く、綱渡り◇無償譲渡申し入れで市が運営検討
北秋田市の森吉山阿仁スキー場が、再び揺れている。同スキー場を所有する外資系企業の無償譲渡の申し入れを受けた市は運営に乗り出す検討を進めているが、多額の財政負担は避けられないうえ先行きも極めて不透明だ。

市観光の核となっている同スキー場をめぐり、市は難しいかじ取りを迫られている。

◇経済効果大きく、避けたい閉鎖
譲渡問題が浮上したのは10月上旬。運営会社ウィンターガーデン・リゾーツ社(東京)の関係者が市役所を訪れ、スキー場運営からの撤退の方針を明らかにした。

同スキー場は国有林内にあり、廃止の場合は原状回復が求められる。同社は11年3月末までに譲渡先が見つからない場合は原状回復の手続きに入るとしたうえで、無償譲渡を打診。

津谷永光市長は「(廃止は)市観光の後退を招く」とし、受け入れを視野に検討することを11日の市議会全員協議会で明らかにした。

同スキー場の譲渡話は、これが2回目となる。
西武グループが87年、森吉山森吉スキー場とともに開設。だがバブル崩壊後の景気後退やスキー人口の減少で利用は低迷し、同グループは06年3月をもって森吉の営業を取りやめ、その後廃止。阿仁も07年3月、リゾーツ社に事業譲渡した。

その後も利用者減少に歯止めがかからず、赤字額も年間約1000万円に上ることから同社も08年に運営休止を発表。これを受けて09年夏季にゴンドラ運行に乗り出していた同市のNPO法人「冒険の鍵クーン」(村田君子理事長)が暫定的に冬季運営もするなど、綱渡り的な状況が続いていた。

新たに森吉山ゴンドラ通年運行協議会メンバーが中心となってNPO「森吉山」(片山信幸理事長)が設立され、今冬に運営を引き継ぐことがまとまった直後に飛び込んできた再譲渡申し入れ。市によると、会社側は国内外の企業に譲渡を打診したが引き受け手はなかったという。

一方で同市にとって、スキー場の経済効果は大きい。市によると宿泊、交通、飲食、土産品などの影響額は年間約3億7000万円に上り、これが引き受けを考える最大の要因となっている。

譲渡打診を受け、市は11年3月定例市議会にスキー場設置条例案を提出することを検討。NPO「森吉山」に夏場は観光客向けのゴンドラ運行を、冬は指定管理者としてスキー場運営を委託する方針だが、市は赤字額に相当する年間約1000万円の支出を見込む。

そのうえ、今後5年間で通常維持管理費約3000万円、さらにゴンドラやリフトのワイヤ張り替えなど維持補修費が1億3500万円見込まれ、議会側からは財政負担を懸念する声が上がっている。

今年6月に施設廃止と原状回復が正式に承認された森吉スキー場についても、市はかつて無償譲渡を打診されたが財政負担の上から拒否した経緯がある。

今回受け入れるにあたって、市側は維持補修費については県に財政支援を、会社側には将来予測されかねない原状回復費の負担を求めるとしている。

また利用者対策については県スキー連盟を通じて各種大会の誘致に力を入れるなど、従来以上に取り組みを強めるという。

佐藤唯直副市長は「利用者が年間5万人を割る状態に陥り、思わぬ施設更新が出てくれば、存続問題はさらに深刻化する」と言い、運営努力は待ったなしの状況となっている。


◇森吉山阿仁スキー場
施設使用面積は国有地28ヘクタール、北秋田市有地9ヘクタールの計37ヘクタール(施設9ヘクタール、スキーコース28ヘクタール、ゴンドラ3473メートル)。利用者は07年度が6万3669人(夏期1万9419人、冬期4万4250人)で、09年度は5万712人(1万2615人、3万8097人)=北秋田市調べ。
(毎日新聞)



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