天然芝が敷かれる予定のスイス合宿地ザースフェーのピッチ日本代表がW杯南ア大会へ向け5月末から直前合宿を行うスイス・ザースフェーの練習場で、天然芝への張り替え工事が始まっていないことが19日、分かった。来月3日から2週間の予定で突貫工事を行うが、芝のマットを組み合わせる方法だけに、短期間では完全に根付くのは難しい状況。アイスランド火山噴火の影響による日照不足で芝の生育が遅れる可能性もあり、重要な直前合宿にもかかわらず完ぺきなピッチは望めそうにない。

ザースフェーの練習場は、いまだ雪に覆われていた。90メートル×50メートルの人工芝グラウンドしかない練習場は、地元自治体の協力で天然芝に張り替えることが決まっている。日本代表関係者は「もう(工事を)やっているんじゃないかな」と話していたが、チームが宿泊する宿舎のベニタ・ヒッシャー支配人は「雪が解けてスキーのシーズンが終わる5月3日から、急いで作業を始める。期間は2週間もあれば十分だと思います」と説明した。チームが練習を始める5月27日までは24日間しかなく、突貫工事となる。

約50万スイスフラン(約4300万円)にも上る工事は、人工芝をはがして土台を造り、砂を敷き詰めた上にロール状の天然芝を敷いていく。通常は縦が1〜1・5メートル、横が5〜10メートルのマットを組み合わせていくが、日本の関係者によると「工事終了から短期間で使用するとマットがずれたり、マットごとに段差ができる可能性がある」という。養生期間が長いと境目は徐々につながってくるが、短期間では完全につながることは期待できず、芝が根付くのは難しい。本来なら、もっと早く工事をする必要があった。

加えて、アイスランドの火山噴火で欧州上空に広がっている火山灰が、芝の状態に影響する可能性も出てきた。火山灰が降り続けば日照が減り生育速度が落ちる。積雪で工事開始が遅れる可能性もあり、練習に適したピッチに仕上がるのは厳しいと言わざるを得ない。

日本代表は標高1800メートルのザースフェーより700メートル低いザンクト・ニクラウスにも第2グランドを確保した。高地トレーニングによる疲労回復も目的だが、ザースフェーへの不安もあったとみられる。ザンクト・ニクラウス事務局のブランシェン・アルト氏も「ザースフェーに芝が根付くか、不安に思っている」と指摘した。ただし、第2グラウンドは芝の損傷が目立ち、ピッチは土や砂交じり。予備のピッチまで状態が悪ければ、練習に大きな影響が出る。

日本代表は当初、天然芝ピッチがあるクラン・モンタナをキャンプ地に予定していた。しかし、スイス代表のキャンプ地に決定したため、急きょザースフェーに切り替えた経緯がある。ピッチが不安定ならケガの危険もあり、不安な合宿となることは避けられない。

◇ザースフェー アルプス山脈の谷間にあるスイス南部の高級リゾート地。標高は1800メートル。標高4545メートルのスイス最高峰ドーム山など13の4000メートル級の山々と氷河に囲まれ、その美しい景観から「アルプスの真珠」と呼ばれる。環境保護のためガソリン車の乗り入れを禁止。1年中ウインタースポーツが楽しめ、スノーボードのW杯も行われる。昨年11月の同W杯では“腰パン問題”のバンクーバー五輪代表・国母和宏が優勝した。ホテルは56軒あり、ベッド数は約2600。
(スポニチアネックス)