出発時(左)と帰国時(右)の国母。どちらが似合っている?(写真:夕刊フジ)試合に負けて勝負に勝った−。21日、バンクーバーから帰国したスノーボードハーフパイプ代表の国母和宏(21)=東海大=の評価がスノーボード業界で高まっている。腰パン騒動で競技への関心が集まり、「低収入にあえぐプロ選手の待遇改善の起爆剤になるのでは」との声が出ているのだ。

「自分のスタイルを変えず、このままでいきたいッス」。バンクーバーから帰国した国母は報道陣を前に、今後の目標についてそう語り、「今、したいことは?」との問いには「仲間とパーティーしたい」。さらに、「仲間と自転車で旅したい。マウンテンバイクで。(山も街も)両方です」と、オレ流を貫いた。

今大会一のアンチヒーローの帰国とあって、成田空港の到着ゲートにはテレビカメラ約10台、約50人の報道陣が集結。日本中で論争になった公式スーツの着こなしは、シャツ出しも腰パンもなし。報道陣から「監督やコーチの忠告に従ったのか」と問われると、あっさり「はい、そうです」。謝罪会見ではずしていた鼻ピアスを“復活”させた部分に、自己主張が表れていた。

前回予選落ちしたトリノ五輪の雪辱をかけた2度目のバンクーバー五輪はメダルなしの8位。しかし、国母は「スノーボード界の流れはこれで確実にいい方にいくと思う」と満足げだ。これについて、業界関係者は「メダルは獲れなかったが、注目を浴びて名前が売れたから」と補足する。

批判的だった世論も、本番を終えると情勢が一変。擁護派が大勢を占めるようになった。国母をサポートするスポンサーの関係者も「むしろよくやったと思いました」とも。「目立ってくれたおかげでまだまだメジャーといえないスノーボード界全体にスポットライトが当たった。競技の認知度が高まったことで、プロ選手の待遇が改善されるきっかけになるかもしれません」

若者を中心に競技人口が増えているスノーボードだが、プロ競技としての認知度はまだまだ。「プロ選手の主な収入源はXゲームなどの大会賞金とスポンサー収入。ただ、スポンサー料に関してはメジャースポーツとして根付いている米国と日本ではケタが違う」という。

今大会で金メダルを獲った米国のショーン・ホワイト(23)の年収は「年間数十億円にも達する」といわれるのに対し、「国内では敵なし」といわれるトップ選手の国母でさえ、「年収は平均的なサラリーマン並み」なのだという。

国母の場合、年間200万円のスポンサー契約を結ぶサングラスメーカーのオークリーとともにボードメーカーのバートンとも契約。そうしたスポンサー収入があっても「プロ大会の参加費用などは自己負担で、懐は厳しい」のだという。

国母モデルをつくっているオークリーの広報担当者は関連グッズの売り上げが伸びれば、「スポンサー料の値上げも考える」と話しており、国母としては、知名度の次は収入でも一流を目指すことになる。
(夕刊フジ)