決勝2回目。青野の体が空中高く舞い上がるたびに、誰もが快挙を予感した。得意の水平方向に3回転する技「1080(テンエイティー)」を連続で成功。だが、ゴール直前で無念の転倒、メダルは一気に遠のいた。

それでも青野の顔には充実感がにじむ。4年前は滞在していた岐阜県のスキー場で、テレビを見つめるしかなかった五輪の舞台で、最後まで果敢に攻め抜いた。

「スノーボードは1つのスポーツとしてまだ認められていない。それを変えたい」と青野はよく口にする。

スノーボード選手独特のファッションやスタイルを「異質」と感じる人が多くいることを分かっている。雪のない松山市で育ち、小学4年で競技を始めた。近くに完成した屋内施設「アクロス重信」で技を磨いてきた。決して派手なことは言わず、一喜一憂することもない。小学校時代から、青野を指導してきた同施設の安岡伝夫コーチは「いつも黙々と練習する子だった」という。

より高く、美しく…。青野が求めるのはスポーツの純粋さ、アスリートとして強さだ。

ワールドカップ(W杯)で勝利を重ね、昨年1月の世界選手権で頂点に立った。ただ、五輪連覇を果たしたホワイトら欧米のトップ選手は不在。初の五輪で世界の壁の高さを目の当たりにした。

「4年後はまだ狙える。悔しい思いをして(そのまま)終わったら男として格好悪い」

この経験はきっと4年後の糧(かて)となる。
(産経新聞)